研究課題/領域番号 |
21K09090
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
藤井 政彦 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, リサーチフェロー (80836114)
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研究分担者 |
西中 知博 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (00256570)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | V-A ECMO / 重症心不全 / 遠心ポンプ |
研究実績の概要 |
重篤な急性循環不全に対し、迅速性・低侵襲性・循環補助能力などから静脈-動脈バイパス方式によるECMO (Venoarterial Extracorporeal Membrane Oxygenation, V-A ECMO)が臨床使用されている。しかし、経皮的アプローチで通常用いられる末梢側からの逆行性送血の場合、強力な循環補助が可能だが、心臓に対しては負荷になる。このため、心不全の重症度に応じた左室減負荷法等が必要となる。本研究では、V-A ECMOの治療成績向上のために最適な左室減負荷法に関する研究を行っている。逆行性送血を伴うV-A ECMOが心機能等の心臓を含む生体に与える影響と左室減負荷法の条件を解明するために、V-A ECMO流量と左室ベント流量の割合が与える影響を研究した。マイクロスフェア冠動脈注入による急性心不全動物モデル(ヒツジ)においてV-A ECMOを装着し、左室ベントを付与したうえで、V-A ECMO流量-左室ベント流量比を変化させ、心室圧・容積曲線、心エコー図検査等を用いて心機能、血行動態等を分析した。結果、V-A ECMO単独では左室圧、容積等を増加させるが、左室ベント施行はこれらを低下させた。しかし、過度な左室ベント施行は右室機能等への影響を発生させた。すなわち、V-A ECMOと付与する左室ベントの適切な流量割合は、左右両心室機能のバランス等に基づいて調整する必要があることが明らかとなった。また、V-A ECMO施行中の左室後負荷軽減を含む心臓への負荷制御を目指し、心電図同期または非同期に遠心ポンプの回転数を変動させることによってV-A ECMOによる循環補助と経大動脈弁の自己心拍出の血流量等を制御するための遠心ポンプ変動回転駆動システムを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
逆行性送血を伴うV-A ECMOが心機能等の心臓を含む生体に与える影響と左室減負荷法の条件を解明するために、急性心不全動物モデルにおいてV-A ECMOに左室ベントを付与した際のV-A ECMO流量と左室ベント流量の割合が心機能等の心臓を含む生体に与える影響を研究した。また、V-A ECMO施行中の心臓への負荷制御を目指し、遠心ポンプ変動回転駆動システムを開発した。V-A ECMO施行時において、この遠心ポンプ変動回転駆動システムによる制御が心機能等の心臓を含む生体に与える影響を研究する段階に達している。
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今後の研究の推進方策 |
逆行性送血を伴うV-A ECMO施行中において、遠心ポンプ変動回転駆動システムによる制御が心機能等の心臓を含む生体に与える影響を、急性心不全動物モデルを用いて研究する。続いて、同システムによる制御継続が生体に与える影響について研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算の執行上未使用額が発生した。2022年度の研究において有効に使用する計画である。
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