研究課題/領域番号 |
21K09091
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
杉山 拓 北海道大学, 大学病院, 講師 (70748863)
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研究分担者 |
杉森 博行 北海道大学, 保健科学研究院, 准教授 (20711899)
松澤 等 新潟大学, 脳研究所, 非常勤講師 (70303170)
小笠原 克彦 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (90322859)
藤村 幹 北海道大学, 医学研究院, 教授 (00361098)
伊東 雅基 北海道大学, 大学病院, 助教 (10399850)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | artificial intelligence / video analysis / surgical skill / adverse event |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、外科手術の機能や安全性、術者スキルに関わる重要な要素を探索することであり、この先にアウトカム予測、有害イベント予測、術者スキル評価AIなどを目指すものである。 令和3年度は、頚動脈狭窄症に対する動脈内膜剥離術に焦点を当て、手術映像の解析に着手した。頚動脈を剥離する際の、頚動脈の動き(加速度)に着目し、これを手術映像から測定することで、“組織に対する愛護的な手術操作”の新たな指標と仮定した。117例の頚動脈内膜剥離術中映像の網羅的解析により、この新たな指標が、手術スキルおよび手術合併症に相関することが証明された。また、この指標を用いることにより、どの様な手術剥離法が客観的に有用であるか(組織に対して愛護的であるか)を示すことが可能になった。さらには、このような手術パフォーマンスの指標が、従来の研究で多く用いられてきた患者側の指標と同等以上に、治療成績にも相関することが多変量解析の結果からも証明し得た。本研究結果を、現在英語論文として投稿準備中である。 また、微小脳血管吻合のトレーニング映像を用いて、術具の先端を自動追跡する深層学習アルゴリズム、手術操作の対象となる微小血管をセグメンテーションするアルゴリズムの作成を開始し、おおむね精度の高いアルゴリズムが形成されてきている。これらを用いて、術具の軌道分析や、患者組織の変形分析などを行い、術者レベルや血管吻合成否に関与する因子の網羅的探索を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度は、深層学習強化を推進するのが当初の計画であったが、一部の手術映像に関しては、スキルや有害イベントに関与する重要因子を探索することもできたため、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究業績の論文化を推進するとともに、作成し得た手術映像解析の深層アルゴリズムを用いて映像解析を進め、手術の安全性や術者の技量レベルに関与する重要因子の探索を継続する方針である。長期的には、ヴァーチャルリアリティシミュレーション映像の解析、手術室における人の行動解析など、未だ着手していない手術関連映像の解析に解析を広げていく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、新型コロナウィルス蔓延の影響を受け、学会もWEB開催が中心となり、旅費がかからかかった要因が大きい。次年度は、本年度と同様の消耗品費用を使用するとともに、研究成果の発表の旅費、英語論文校閲費などを使用する方針である。
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