研究課題/領域番号 |
21K09108
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
小笠原 邦昭 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00305989)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 慢性貧困灌流 / 脳脊髄液流動態 / 脳温度 / MRI / PET / ラジエータ効果 |
研究実績の概要 |
本研究では、「慢性貧困灌流において低下した脳血流による不十分なラジエータ効果が存在するときに、脳脊髄液流が能動的にラジエータ効果を担っているのかどうか」を明らかにする。 2021年度は、脳主幹動脈慢性閉塞狭窄性病変の原因となる60歳代の動脈硬化性病変10例と40歳代の虚血発症もやもや病5例を対象とした。全例に術前に15OガスによるPETを用いて貧困灌流の有無を、3T MRI MRSを用いて脳温度マップを、7 Tesla MRIで取得した拡散強調画像で得られたIVIM解析にてCSF dynamicsを作成した。これらの症例に対して、上記の検査に加えて神経心理検査として、Wechsler adult intelligence scale-revised (WAIS-R)、Wechsler memory scale-revised (WMS-R)、Rey testを行い、認知機能を測定した。拡散強調画像から得られたIVIM解析は、以下の順で解析した。1)脳室・脳槽内脳脊髄液信号計測と信号減衰曲線を用いたIVIMパラメータ推定、2) 脳室・脳槽内脳脊髄液のIVIMパラメータの統計学的比較、3) 脳実質内脳脊髄液信号計測と信号減衰曲線を用いたIVIMパラメータ推定、4) 全脳脳脊髄液動態マップの作成。 以上から得られた現時点のデータでは、「1) 脳温度と脳脊髄液動態の関係は正の相関にある、2) 1)の関係は動脈硬化性病変より虚血発症もやもや病で強い、3) 1)の関係を認知機能低下例ほど、脳温度が高く、脳脊髄液動態の変化が強い。」傾向にある。今後症例を増やし、統計学的検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定症例数をクリアしており、またこれらの症例に対する検査も順調に行われている。解析も順調だが、症例数がまだ統解析するまでは至っておらず、施行していない。しかし、これは研究進捗としは予定通りである。
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今後の研究の推進方策 |
得られた現時点のデータでは、「1) 脳温度と脳脊髄液動態の関係は正の相関にある、2) 1)の関係は動脈硬化性病変より虚血発症もやもや病で強い、3) 1)の関係を認知機能低下例ほど、脳温度が高く、脳脊髄液動態の変化が強い。」傾向にある。2022年度以降、2021年度と同等の症例をentryできれば、2023年度中盤には、最終結果がでる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
英文論文の業者による英文チェックが当初よりやすかったため、5,849円の次年度使用額が生じた。次年度にこれを英文論文の業者による英文チェック料金として使用する予定である。
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