研究課題
本研究では、「慢性貧困灌流において低下した脳血流による不十分なラジエータ効果が存在するときに、脳脊髄液流が能動的にラジエータ効果を担っているのかどうか」を明らかにする。2022年度は、脳主幹動脈慢性閉塞狭窄性病変の原因となる60歳代の動脈硬化性病変8例と40歳代の虚血発症もやもや病4例を対象とした。全例に術前に15OガスによるPETを用いて貧困灌流の有無を、3T MRI MRSを用いて脳温度マップを、7 Tesla MRIで取得した拡散強調画像で得られたIVIM解析にてCSF dynamicsを作成した。これらの症例に対して、上記の検査に加えて神経心理検査として、Wechsler adult intelligence scale-revised (WAIS-R)、Wechsler memory scalerevised (WMS-R)、Rey testを行い、認知機能を測定した。拡散強調画像から得られたIVIM解析は、以下の順で解析した。1)脳室・脳槽内脳脊髄液信号計測と信号減衰曲線を用いたIVIMパラメータ推定、2) 脳室・脳槽内脳脊髄液のIVIMパラメータの統計学的比較、3) 脳実質内脳脊髄液信号計測と信号減衰曲線を用いたIVIMパラメータ推定、4) 全脳脳脊髄液動態マップの作成。2021年度と合わせた60歳代の動脈硬化性病変計18例と40歳代の虚血発症もやもや病9例から得られた現時点のデータでは、「1) 脳温度と脳脊髄液動態の関係は正の相関にある、2) 1)の関係は動脈硬化性病変より虚血発症もやもや病で強い、3) 1)の関係を認知機能低下例ほど、脳温度が高く、脳脊髄液動態の変化が強い。」というう結果になった。2023年度にはさらに症例を増やし、統計学的検討を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
予定症例数をクリアしており、またこれらの症例に対する検査も順調に行われている。解析も順調だが、症例数がまだ統解析するまでは至っておらず、施行していない。しかし、これは研究進捗としては予定通りである。
えられた現時点のデータでは、「1) 脳温度と脳脊髄液動態の関係は正の相関にある、2) 1)の関係は動脈硬化性病変より虚血発症もやもや病で強い、3) 1)の関係を認知機能低下例ほど、脳温度が高く、脳脊髄液動態の変化が強い。」傾向にある。2023年度このままの状況で症例をentryできれば、2023年度中盤には、最終結果がでる予定である。
登録症例数が昨年より、減少したため。来年度はこの予算を用いて、増加させる予定の登録症例の検査費に用いる予定。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 7件、 査読あり 7件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件)
Ann Nucl Med
巻: In press ページ: In press
10.1007/s12149-023-01825-0
J Neurosurg
10.3171/2023.1.JNS222059
J Stroke Cerebrovasc Dis
巻: 32 ページ: 106909
10.1016/j.jstrokecerebrovasdis.2022.106909
Neurosurg Rev
巻: 45 ページ: 3665-3673
10.1007/s10143-022-01861-w
Neurol Res
巻: 44 ページ: 1104-1112
10.1080/01616412.2022.2112375
巻: 31 ページ: 106588.
10.1016/j.jstrokecerebrovasdis.2022
World Neurosurg
巻: 164 ページ: e1135-e1142
10.1016/j.wneu.2022.05.11