研究課題/領域番号 |
21K09112
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
井上 華 東京医科大学, 医学部, 講師 (20390700)
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研究分担者 |
谷藤 章太 東京医科大学, 医学部, 助教 (50529245)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | TRPM7 / phosphorylation sites / magnesium |
研究実績の概要 |
TPRM7の活性は細胞増殖や遊走に寄与する。膠芽腫を含むいくつかの癌細胞では、TPRM7の発現量及び活性が増強されていることが報告されている。本研究では癌におけるTPRM7活性制御機構の解明を目的とする。 TPRM7のチャネル活性は細胞内Mgによって抑制されている。チャネル活性のMg依存性の変化は、膠芽腫におけるTPRM7チャネルの異常な活性化に寄与すると考えられる。われわれはこれまでに酸化ストレスがMg依存性を左方シフトさせることを明らかにしたが、異常活性化に寄与すると考えられる右方シフトさせる要因に関しては不明である。そこで令和3年度はTPRM7のリン酸化部位セリン1269(S1269)をグルタミン酸(E)およびアスパラギン酸(D)に置換したphosphomimetic mutantsを作成し、その電流の細胞内Mg感受性をパッチクランプ法により検討した。S1269はプロテインキナーゼA(PKA)によるリン酸化サイトでリン酸化されるとTPRM7活性が阻害されることが報告されているが、本研究による変異体を用いた実験ではS1269EおよびS1269D変異は、チャネル活性にもチャネルの細胞内Mg濃度依存性にも影響を与えず、WTやリン酸化されない変異体であるS1269Aとほとんど同じであった。最近、高解像度プロテオミクス(high-resolution proteomics)により、新たなTPRM7リン酸化部位と相互作用分子が報告された。今後はこれらについても検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度以降に行う予定であったphosphomimetic mutantsを用いた実験を先行して行ったが、おおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度に引き続き、新たにリン酸化させることが報告されたセリン残基の変異についてもチャネル活性および膠芽腫における増殖・遊走への寄与について検討を行う。 またGene expression omnibusを使用して、膠芽腫と正常組織における遺伝子発現パターンの解析を行うことにより、TRPM7のリン酸化などの修飾だけでなく、相互作用分子もターゲットとして活性制御分子の探索を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画では次年度以降に実施する予定であった実験を先に行ったため
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