研究実績の概要 |
【2021年度・軽症モデルでの研究】2021年度は非骨傷性頚髄損傷軽症モデルでの実験を進めることができた。除圧群は非除圧コントロール群より行動学的・組織学的改善を示した。早期除圧群、晩期除圧群の2群間に有意差はなかった。軽症モデルにおける圧迫性病変を持つラットの脊髄損傷後の除圧術はタイミングによらず有効であることが示唆された。 【2022年度・軽症モデル実験の論文化、中等症モデル実験の開始】軽症モデルを用いた実験について論文作成を行った。(Okimatsu, Furuya, et al. Scientific report, 2022)。また、圧挫損傷の程度を強めた中等度モデルでの研究を開始した。中等度損傷の圧挫の強度設定のため、圧挫のForceを数種類設定し、最適なモデルの選定を行った (未発表データ)。 【2023年度・中等症モデルでの研究】軽症モデル研究は75Kdynで圧挫を加えたが、中等症は100Kdynでの圧挫損傷を作成した。先行させた軽度脊髄圧挫損傷モデルと異なり、行動学的評価において早期除圧群、1週後除圧群、非除圧コントロール群の行動学的評価にて有意差を認めなかった。組織学的評価において、早期除圧群に比し、1週後除圧群で髄鞘の温存率が低い傾向を得た。ただし、神経系細胞数、死細胞数等の検討では3群間に有意差を認めなかった。より重度の損傷では、除圧による効果が得られにくいということが示唆された。 【3年間の研究実績概要】当初予定していた重症度別の研究を進めることができた。軽症例については成果物(英文原著論文)の作成まで到達した。中等症モデルについても実験はすでに終了しており、今後データ検証、成果物の作成を行っていく。
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