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2022 年度 実施状況報告書

居住地社会経済格差が急性期脳梗塞診療に及ぼす影響に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K09127
研究機関高知大学

研究代表者

福田 仁  高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (80807917)

研究分担者 上羽 哲也  高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (00314203)
二宮 仁志  東洋大学, 理工学部, 准教授 (10764144)
兵頭 勇己  高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 助教 (50821964)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード地域剥奪指数 / 社会経済格差 / 脳梗塞 / 受診遅れ
研究実績の概要

2012年から2018年にかけて高知県脳卒中悉皆調査に集積された急性期脳卒中患者のうち、脳梗塞患者を対象とした。患者の居住市町村の社会経済的指標として地域剥奪指数を算出し、脳梗塞患者の受診遅れ(発症後4時間以降の医療機関到着=組織プラスミノーゲンアクチベーター静脈投与の適応時間)との関連を分析した。高知県の市町村のうち、県庁所在地の高知市は社会経済状況が著しく異なることと、人口集中地域が複数あることから地域剥奪指数が一様ではないことより、高知市内と高知市外の患者は別々に解析した。
脳梗塞受診遅れの個人要因で調整した多変量解析の結果、高知市外患者の受診遅れは、地域剥奪指数が高い(社会経済状況が悪い)市町村に居住しているほど多いことが明らかとなった。また、それに応じて院内死亡、療養型病院への転院といった予後不良も増加してい た。患者の受診行動についてのサブグループ解析を行うと、地域剥奪指数が高い地域では低い地域と比較して急性期脳梗塞発症時に救急車を呼ぶ頻度が高いものの、重症脳梗塞発症時に救急車を呼んでいない、発症後長時間経過してから救急車を呼ぶ、などの非合理的な受診行動が多いことが明らかとなった。 高知市内については都市型の分析を行うこととして、患者居住地の郵便番号別に地域剥奪指数を算出して受診遅れとの関連を分析したが、 有意な関係性は見出せなかった。また、患者周囲医療施設の診療能力とその配置の分析も高知市内データで行ってみたが有意な所見は見出せなかった。
高知市外データで地域剥奪指数が高いことが予後不良につながることの原因として、組織プラスミノーゲンアクチベーター静脈投与と機械的血栓回収術の数を比較してみたが治療機会の数は地域剥奪指数と関連がなかった。しかしながら、これらの治療を受けるまでの発症からの時間は、域剥奪指数が高い市町村で有意に長かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度までに行う予定であった、地域剥奪指数が急性期脳梗塞受診遅れと予後に及ぶす影響、またそれに関連した患者受診行動の分析は概ね終了しており、結果をまとめている。一方、高知市内データを対象にした都市型脳梗塞受診遅れの原因は見つかっておらず、今後違った角度からの分析を進める。

今後の研究の推進方策

高知市内の都市型脳卒中診療体制における受診遅れは、複数の原因が複雑に絡み合っており単純な分析ではリスク因子が検出できない。今後は機械学習を導入し、多くのリスク因子候補を網羅的に解析してリスク因子の変数重要度や交互作用を中心に分析を続けたい。

次年度使用額が生じた理由

現在までの研究は比較的単純な統計解析を用いたため、複雑な解析に必要な物品を要しなかったため物品費が想定より掛からなかった。これに対して今後の解析は機械学習を予定しており複雑に解析に関連した費用が発生すると考えられる。また中間解析とはいえ一定の結果が出ているため、次年度以降は積極的に各学会にて発表、ディスカッションを行い、今後の研究の方向性の決定や論文発表につながる内容のブラッシュアップを行う予定としている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 急性期脳梗塞の受診遅れを低減させるためのアプローチ2022

    • 著者名/発表者名
      福田 仁
    • 学会等名
      日本脳神経外科学会総会

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公開日: 2023-12-25  

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