研究課題
我々は、脳梗塞に対する骨髄間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cells:MSC)の経静脈的投与(MSC治療)による良好な治療効果を報告している。これまでの基礎研究においては、ラットの脳梗塞モデルを用いた実験で、MSC治療後の血漿中BDNFが、投与されたMSCの機能的バイオマーカーとなり得る可能性を示唆した(Nakamura et al., 2017)。本研究では、血漿中BDNFの推移が単に機能活性の指標に留まらず、脳梗塞の機能予後とも相関するかどうかを検証し、さらに機能活性や機能予後を示す新しいバイオマーカーを探索することを目的としている。これまでに、①医師主導治験患者の血漿中BDNF測定、および、②ラット脳梗塞(MCAO)モデルにMSCを投与し、血漿中BDNFと機能予後の相関を検討することで、MSC治療における機能活性モニタリングと機能予後バイオマーカーの開発を進めている。①では、札幌医科大学附属病院に入院した医師主導治験患者から経時的に採血を行い、血漿を分離し、ELISA法(BDNF E-max immunoassay system:Promega)を用いてBDNFを測定している。②では、ラット脳梗塞モデルとして中大脳動脈永久閉塞(MCAO)モデルを用い、Intraluminal thread methodで作製し、脳梗塞発症6時間後にラットMSCを経静脈的に投与する。経時的に末梢血を採取し、保存血から血漿を分離し、①同様にELISA法にてBDNFを測定する。観察期間中には、トレッドミルを用いてラットの最大走行速度を測定し、動物用MRIを使用して脳梗塞の体積を経時的に解析する。観察期間終了時には、血漿中BDNFと運動機能から機能予後解析を継続している。以上のように、補助金は適切に使用されている。
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