研究実績の概要 |
ヒトのグリオーマのSGK阻害剤に対する反応を調べるため、ヒトグリオーマ細胞株T98GにSGK阻害剤gsk650394を投与したところ、阻害剤濃度の上昇と共に増殖は抑制されたが、50%抑制量(IC50)は100uM以上であった。また、別のヒトグリオーマ細胞株F98を用いて同様の実験を行った場合はIC50は約10uMであった。いずれの細胞も、SGKの阻害剤開発を報告した論文で用いられた前立腺癌細胞株(~1uM, Sherk et al 2008 Cancer Res)の場合に比較して大きく右にシフトしている。しかしながら、細胞種によってはIC50が100uM以上の細胞(HCT cells, Liang et al 2017 J Cancer)などもあり、問題は内と考えられる。さらに、T98G細胞では、gsk650394は細胞増殖に影響を与えない濃度(10uM)で細胞移動を抑制した。これらのことから、SGK1の阻害はグリオーマの細胞増殖や移動能を抑制することが示唆された。続いて、ミクログリアのグリオーマに与える影響を検討するため、本申請課題でグリオーマ/ミクログリア間をつなぐ標的因子として注目しているIL-4の発現の検討を試みた。当教室で通常用いているミクログリア細胞株BV-2を用いたところ、定量的PCRでIL-4の発現が確認できなかった。LPS投与においてもIL-4の発現は確認できず、現在実験に用いるプライマーの変更あるいはELISAなど別の実験方法の検討を行っている。
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