研究課題/領域番号 |
21K09133
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
井上 浩一 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (80345818)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | グリオーマ / SGK1 / ミクログリア |
研究実績の概要 |
昨年に引き続きミクログリア細胞株BV-2においてSGK阻害剤投与時のIL-4の発現確認を種々の方法で行ったが、いずれの方法でも確認できなかった。予期に反してミクログリア細胞株でのSGK依存的IL-4発現はないものと考えられる。ただし、脳内でIL-4の存在が認められるため、脳内外のどこかで発現したIL-4によりミクログリアの極性変化及びグリオーマの細胞増殖への影響がみられるか検討を行った。BV-2にIL-4 10ng/mlを投与してもミクログリアのM2極性のマーカーであるArg-1の発現変化は認められなかった。一方、SGK1破壊型BV-2細胞(Asai, Inoue et al 2018 IJPPP)にIL-4を投与したところArg-1遺伝子発現の増加傾向が認められた。これからミクログリアのIL-4依存性の極性変化にSGK1が関与する可能性が示唆された。続いてグリオーマ細胞株T98GにIL-4を投与し増殖を確認したところ、IL-4 30ng/mlまで増量しても大きな増殖変化は認められなかった。これらのことから、少なくともT98G株では当初予期したようにIL-4による増殖の増強が起こらないことが示唆された。これが一般的な事実だとすると、ミクログリアとグリオーマの関係はIL-4を介しては特にないことになる。また、SGK1はIL-4の発現にあまり関与せず、ミクログリアの極性には関与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の想定としてはIL-4の投与によりグリオーマの増殖変化が認められるはずであったが認められなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
他のグリオーマ及びグリオブラストーマ細胞株を用い、IL-4による増殖変化がみられるか確認する。IL-4による増殖変化に関わらずグリオーマとミクログリアの共培養を行いグリオーマの増殖変化を確認し、SGK1破壊型BV-2の利用も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
他の研究課題の再投稿用の実験及び論文作成等のため本研究課題に遅れが出ており、結果として計画通りに研究費を使用することができなかった。今後は研究計画に追いつくようエフォート及び時間配分を見直し、研究に努める。
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