研究課題/領域番号 |
21K09134
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
菅野 洋 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (40244496)
|
研究分担者 |
村田 英俊 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (40398524)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 脂肪組織由来幹細胞 / SOCS蛋白 / BC-box motif / 神経再生医療 / 神経分化誘導 |
研究実績の概要 |
BC-box motifは、VHL蛋白やSOCS蛋白などが属するBC-box蛋白のelongin BCに結合する部位のアミノ酸シークエンスであるが、研究代表者は2018年にVHL蛋白やSOCS蛋白を含む大部分のBC-box蛋白に由来するBC-box motifが皮膚由来間葉系幹細胞に対して神経分化誘導活性を持つことを示した(Int J Mol Sci 2018)。最近、SOCS6由来のBC-box motifがユビキチン・プロテアソーム系を介してGABA作動性ニューロンへ分化誘導し、SOCS6由来 BC-box motifペプチドを導入した皮膚由来間葉系幹細胞を脳梗塞モデルラットの線条体へ移植すると空間認知能が改善することを報告した(Int J Mol Sci 2000)。また、SOCS7由来BC-box motifはコリン作動性ニューロンを分化誘導することを明らかにし、2021年には神経疾患患者の手術の際に採取した余剰の少量の皮下脂肪組織より、脂肪組織由来間葉系幹細胞(ADMSCs)を分離・培養して、SOCS7由来BC-box motifを導入することにより、コリン作動性ニューロン様の細胞へ分化誘導することを明らかにし、2022年3月の日本再生医療学会にて報告した。また、実際にADMSCsの静脈内投与により慢性期の脳卒中などの神経疾患に対する治療を行っている研究協力者らと共に、ADMSCsを用いた神経再生医療を行った。現在、ヒトのADMSCsをSOCS7由来BC-box motifを導入することにより、コリン作動性ニューロン様の細胞へ分化誘導したことに関して、英文の論文を作成中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の初期段階としては、実際に神経疾患患者の皮下脂肪組織よりヒト脂肪組織由来幹細胞の分離・培養とSOCS7由来BC-box motif peptideによるコリン作動性ニューロン様細胞へ分化誘導に成功し、日本再生医療学会で発表を行っており、概ね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の方向としては、実際の臨床において脂肪組織由来幹細胞を慢性期の脳卒中患者に投与して神経症状が改善するか検討することと、併行して、in vitroの研究として、特定のニューロンにSOCS蛋白由来のBC-box motif peptideにより分化誘導すること、さらにin vivoの研究として、脳血液関門の透過性を増加させた条件下で、脂肪組織由来幹細胞が脳血液関門を透過するかを検討していきたいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
所属研究機関が国際医療福祉大学から横浜市立大学に2021年7月に変更なり、そのために国際医療福祉大学の研究室での実験ができなくなって、当該研究を一時的に中断せざるを得なくなったため、次年度に横浜市立大学で研究を継続するために、次年度使用額が生じた。次年度使用額を用いて、必要な研究備品を購入する見込みである。
|