研究課題/領域番号 |
21K09141
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研究機関 | 愛知工科大学 |
研究代表者 |
永野 佳孝 愛知工科大学, 工学部, 教授(移行) (40610142)
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研究分担者 |
宮地 茂 愛知医科大学, 医学部, 教授 (00293697)
大島 共貴 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (30378161)
泉 孝嗣 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90467291)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脳神経外科 / 脳血管内治療 / 挿入力センサ / 摩擦 / ヒステリシス |
研究実績の概要 |
本研究では、カテーテルを用いる脳血管内治療において、ワイヤ状の治療デバイスであるガイドワイヤや塞栓用コイルの先端力を推定するシステムを開発する。そのコンセプトは、これまで術中に計測不可であった患者の血管内壁に作用する先端力を、計測可能なX線透視画像と体外にある治療デバイスの末端の挿入力とから推定することにある。本研究の具体的目的は研究1から5に分けられている。 2022年度では、研究1の各種カテーテルと治療デバイスの間の摩擦係数の計測と、研究3のワイヤの挿入力センサの高精度化を進めた。 研究1では、5種類の直径の異なる円盤を用いて、カテーテルの巻き付け角度を変えながら摩擦係数の測定を実施した。 研究3では、挿入力センサのヒステリシス要因となる摩擦力の低減を行った。挿入力センサは、ワイヤをセンサヘッドにある湾曲した貫通穴へ通し、ワイヤに力を加えたときの湾曲方向に発生する力をロードセルで測定し挿入力に換算している。貫通穴とワイヤの摩擦力は測定におけるヒステリシス要因となる。センサヘッド内部の摩擦力を減らすために、貫通穴内部に軸受を設置した。軸受はワイヤの湾曲外側と内側に各3個ずつ配置した。3個ずつとすることで湾曲角度を構成する。貫通穴にワイヤを挿入しやすくすることと、軸受とワイヤとのギャップをゼロにすることを両立するために、湾曲外側の軸受はスプリングを介してワイヤを抑える構造とした。この仕組みによりセンサ出力のヒステリシスを±0.02Nにすることができた。 また、センサを実際の治療で使えるようために、センサヘッドとロードセルとを分離した構造とした。この構造によりセンサヘッドにワイヤを挿入するとき、ロードセルへ直接的に過度な力が加わることを防止できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度の目標は、研究1の各種カテーテルと治療デバイスの間の摩擦係数の測定、研究2のカテーテル形状設計アプリケーションへの総湾曲角度の計算機能の追加、研究3のワイヤの挿入力センサの高精度化センサであった。2022年度前半では、研究1から3についての評価および改良をする計画となっている。現時点で、研究1と研究3はほぼ予定通りに進んでいる。研究2のカテーテル形状設計アプリケーションへの総湾曲角度の計算機能の追加が未完成である。このため、全体としてやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度前半では、未完成である研究2について完成させる。研究1と3についても、引き続き評価と改良を進めていく。特に研究3においては、挿入力センサの検出誤差となっているヒステリシス要因について分析を進め、さらなる高精度化を進める。 2022年度後半では、研究4のDICOM画像と術中透視画像によるカテーテル形状の総湾曲角度の算出と、研究5のX線透視装置との接続による臨床用評価システムの開発について着手する。研究4ではDICOM画像を用いてカテーテルの総湾曲角を求めることになるが、2次元の透視画像をもとにカテーテルの位置情報を3次元のDICOM画像上にマッピングする必要がある。このマッピング処理と総湾曲角度の計算をリアルタイムで行う画像処理システムを開発する。 研究5では、研究4を医療機関にあるX線透視装置と接続をし、その装置のDICOM画像データと2次元の透視画像を用いることができるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度では,予定していた学会への発表が研究の遅れによってできなかったために一部の旅費が未使用額となった。この旅費は2022年度にそのまま繰り越して学会発表用に使用する。 2022年度では、センサの高精度化をさらに進めるために校正用のフォースゲージを購入する。さらに当初の予定通りに、画像処理に関する開発が主となるためにその関連機材の購入、学会発表のための旅費等で使用していく計画である。
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