研究実績の概要 |
これまでのファージディスプレイの研究で、静脈投与でglioblastoma xenograft モデルの脳腫瘍に選択的に到達可能なペプチドプローブを開発した。特に注目すべきは、腫瘍幹細胞にも取り込まれていたことである。しかしながら、その後の研究で一旦取り込まれてもエンドゾームで分解・代謝され、抗腫瘍効果があまり得られないことが判明した。エンドゾームの作用を回避する目的で、ナノエマルジョンにプローブを表出させ、内部に抗腫瘍薬物を封入することにした。vitro系では、エマルジョンが腫瘍細胞膜にfusionし内部の薬剤を到達させ、腫瘍細胞を死滅させることを確認した。vivoで同様の効果が得られるかを確認する目的で、テトラフエニルポルフィリンでPeptide-Brij58エマルジョンがglioblastoma xenograft モデルで脳腫瘍に集積するか検討するためのセットアップをした。その結果、peptide emulsion が腫瘍に集積していることをimaging, 蛍光発光の定量化で証明できた。具体的な手法は以下の通り。 Nitroxide radicalがテトラフエニルポルフィリンの蛍光をクエンチするため、まずは、磁性ナノ粒子を還元することによって蛍光検出するための条件検討を実施。ascorbic acid 5mM, 40mM, 200mM,500mM で110分 処理することで経時的にペプチドエマルジョンに抱合されたテトラフエニルポルフィリンの蛍光が回復する過程の定量化を実施。その結果、ascorbic acid 500mM で110分処理することが必要との結果を得た。 glioblastoma xenograft モデルでテトラフエニルポルフィリンを取り込ませたPeptide-Brij58 エマルジョンを投与し30分後に脳を摘出し、薄切の後、ascorbic acid 500mM で110分処理を行い、テトラフエニルポルフィリンの脳腫瘍への集積を確認すると同時に、脳腫瘍のhomogenate を用いてテトラフエニルポルフィリン蛍光を定量化し、その脳腫瘍への蓄積を証明した。
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