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2023 年度 実施状況報告書

悪性神経膠腫のエピゲノム変化に対応した分子標的抗癌剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K09150
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

椎野 顯彦  滋賀医科大学, 神経難病研究センター, 准教授 (50215935)

研究分担者 谷垣 健二  滋賀県立総合病院(臨床研究センター), 神経病態研究部門, 専門研究員 (70362473)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード悪性神経膠腫 / DDS / ペプチドプローブ / ファージディスプレイ / 抗癌剤 / 血液脳関門 / ナノエマルジョン / ゲルダナマイシン
研究実績の概要

我々は、ヒト由来悪性神経膠腫から癌幹細胞を分離して作成したPDXモデルマウスにおいて、ァージシスプレイ法で静脈経由で腫瘍幹細胞に特異的に取り込まれるペプチドプローブを発見した。しかしながら腫瘍細胞がもつendocytosis-endosome機構で取り込まれた抗癌剤の効果が認められなかった。そこで、ナノエマルジョン(NE)を作成し、これが特異的にPDXモデルマウスの腫瘍に取り込まれるかどうかを確認した。
アルキル長鎖+疎水性ニトロキシドラジカルと非イオン性界面活性剤をリン酸緩衝液中で混合することにより、安定な磁性NE粒子を調製することに成功し、電子スピン分光法と動的光散乱法により構造を確認した。この磁性NEは、ラジカル部が保護され長時間にわたってビタミンC還元耐性を示す特性をもつ。
蛍光色素であるTetraphenylporphyrin(TTP)をNEに包埋の成否は、NE内にTTPが入るとNEがもつラジカルの作用で蛍光が吸収され消失することから確認できる。次に、アスコルビン酸を加えることによりラジカルの影響を消すことで、TPPの蛍光が検出できるようになる。PDXモデルマウスにNE-TTPを静脈注射し、アスコルビン酸処理をすることで赤い蛍光がGBMに確認されたことからNEのまま腫瘍に集積していることが推測された。
PDXマウスに10日間連続投与をした際に、コントロール(ゲルダナマイシン Brij 58エマルジョン)では腫瘍体積が1.2倍(120%)に増加するのに対し、ゲルダナマイシン ペプチドーBrij 58エマルジョンでは0.9倍(90%) に退縮がみとめられた。
以上から、ペプチドプローブを結合させたNEがPDXマウスのGBMに特異的に集積し、抗腫瘍効果をもたらしたと推測された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでの研究で、我々が開発したNEが確実にPDXモデルマウスのGBMに集積し、かつ、ペプチドプローブをNEに付与することにより、付与なしと比較して明らかに抗腫瘍効果のあることが明らかとなった。これまでの結果を論文にしてまとめる予定である。

今後の研究の推進方策

腫瘍細胞内に取り込まれたNEが、細胞内でどのような代謝を受けるのかを究明する必要があると考える。また、どのような抗癌剤あるいはmRNAが有効であるかなど、検討する必要があると思われる。また、今後臨床応用に向けて提携してくれる製薬メーカーを探す必要がある。

次年度使用額が生じた理由

研究が想定していたよりも順調に進み、物品費を抑制できたため。

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公開日: 2024-12-25  

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