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2021 年度 実施状況報告書

NFATc4に焦点を当てた膠芽腫の壊死周囲微小環境の腫瘍幹細胞誘導能解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K09152
研究機関山口大学

研究代表者

崔 丹  山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (40346549)

研究分担者 池田 栄二  山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30232177)
吉冨 千尋  山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (50819323)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード膠芽腫 / 腫瘍幹細胞 / 低酸素 / 低栄養
研究実績の概要

膠芽腫は神経膠腫の中で最も悪性度が高く、高い浸潤能のため手術療法による根治が困難であるとともに、放射線療法および化学療法に抵抗性を示す極めて予後不良な悪性腫瘍である。これまで我々は、膠芽腫の予後不良を規定する腫瘍細胞として、HIF-1α を発現するとともに幹細胞性質を示し静止期にある腫瘍細胞〔HIF-1α+ Sox2+/Nanog+ RNApIIS2P-/low(以下、H+S+/N+R-/low 細胞)〕(Sox2 およびNanog は幹細胞マーカー、RNApIIS2P は増殖期マーカー)を特定した。また、この細胞がヒト膠芽腫組織の虚血性壊死巣周囲に特異的に存在することを明らかにし、この低栄養・低酸素状態を特徴とする壊死周囲の微小環境を「壊死周囲ニッチ」と命名し報告した。さらに、2次元培養系を用いた系で、H+S+/N+R-/low 細胞の誘導にはNFAT (Nuclear Factor of Activated T cells) c4が関与することを見出している。
令和3年度は、ヒト膠芽腫細胞株U87を用い、「壊死周囲ニッチ」を模したスフェロイド(3次元)培養系にて、上記のH+S+/N+R-/low 細胞が出現する最適条件の検討を行った。その結果、通常培養条件下でスフェロイドを72時間培養した後、酸素濃度1%かつ無血清培地でさらに48時間培養することにより、スフェロイドの中心部が壊死に陥り、その壊死周囲にH+S+/N+R-/low細胞が最も効率高く出現すること、それらH+S+/N+R-/low細胞の一部にはNFATc4の発現を伴っていることが示された。「壊死周囲ニッチ」に出現する膠芽腫の予後不良を規定するH+S+/N+R-/low細胞の誘導にNFATc4が関わることが、スフェロイド培養系においても示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和3年度の研究計画は、スフェロイド内のH+S+/N+R-/low細胞の誘導効率を上げるとともに、sphere forming assay、マウス脳への移植実験など今後の解析のための条件設定を行う計画であり、低酸素・無血清の刺激時間などのスフェロイド培養条件を検討し、至適なスフェロイド培養条件を得た。スフェロイドのヌードマウス脳への移植実験はやや遅れているが、2次元培養した細胞を脳に移植する方法を確立し、令和4年度の解析を順調に行うための条件設定は済んでいる。

今後の研究の推進方策

今後、膠芽腫の予後不良を規定するH+S+/N+R-/low腫瘍細胞の造腫瘍能、その上流因子としてのNFATc4の関与を解析する。解析系として、ヌードマウスに移植した腫瘍細胞を可視化しモニターする系を確立し、R3年度に最適化した培養条件で作製したスフェロイドをヌードマウス脳に移植し、経時的に腫瘍形成を観察することにより、H+S+/N+R-/low細胞の膠芽腫病態への関与を評価する。また、NFATc4をノックダウンした細胞を用いたスフェロイドにおけるH+S+/N+R-/low細胞の出現を解析するとともに、ヌードマウス移植系にて、予後不良な膠芽腫の病態へのNFATc4の関与を解析する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] NFATc4によるヒト神経膠芽腫の壊死周囲ニッチにおける静止期幹細胞様の腫瘍細胞の誘導2022

    • 著者名/発表者名
      吉冨千尋、崔丹、田中瑛、河野裕夫、池田栄二
    • 学会等名
      111回日本病理学会総会

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公開日: 2022-12-28  

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