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2023 年度 実施状況報告書

がん脳転移にペリサイトが及ぼす影響をin vitro血液脳関門モデルで解明する

研究課題

研究課題/領域番号 21K09154
研究機関長崎大学

研究代表者

氏福 健太  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (20437867)

研究分担者 松尾 孝之  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (00274655)
日宇 健  長崎大学, 病院(医学系), 講師 (00404260)
吉田 光一  長崎大学, 病院(医学系), 助教 (20393457)
馬場 史郎  長崎大学, 病院(医学系), 講師 (30530430)
諸藤 陽一  独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター), 脳神経外科, 医長 (40437869)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード転移性脳腫瘍 / 脳血液関門 / BBBキット / in vitro実験モデル / エクソソーム / 網羅的発現解析 / 初代培養細胞
研究実績の概要

本研究では、がん転移細胞が脳血液関門(blood brain barrier: BBB)を通過するメカニズムの解明を目指している。先行研究において、肺がん細胞株をもちいたin vitroの脳血液関門(blood brain barrier: BBB)モデル実験にて(動物実験委員会 承認番号0704190570)、BBBモデルに肺がん細胞株を加え、脳血行転移を再現した系を構築し、ペリサイトは腫瘍増殖抑制的に働いていることを報告済みである(藤本ら、2019)。RNAseqにて、このモデルで炎症性サイトカインの関与は明らかでなく、それ以外の液性因子が関与することが示唆され、関与する遺伝子としてWwtr1(TAZ)およびAcin1が候補に挙がっている(氏福ら、Cell Mol Neurobiol.2022)。
本研究の具体的ターゲットを、エクソソームとそれに含まれる分子群と想定し、研究を開始した。キット等で回収したエクソソームを品質評価し、関連分子の各種解析を行う。①YAP-TAZ signal pathwayを介した競合阻害作用が働いている可能性や、②線維芽細胞のアポトーシスの抑制機構を主標的として追求する予定である。
また、転移性脳腫瘍の検体採取および初代培養細胞樹立を行いつつある(臨床倫理委員会 許可番号17091117)現時点で、既存のがん細胞株をもちいたモデルを用いて、初代培養細胞の使用は、引き続き今後の研究課題である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

BBBモデルの動物実験倫理委員会申請許可にトラブルはない。主に研究者(人手不足)の面で、COVID19蔓延の余波を受けて本体研究が遅れている。
また、当院の臨床研究倫理委員会より、研究許可の再申請を指示されており、倫理的瑕疵が生じないような対応を検討中である。現時点で実際の患者検体を用いる実験は、別途倫理委員会許可済みの範囲にとどめている。研究倫理違反に該当する項目はない。したがって、人手の面で、転移性脳腫瘍からの初代培養の実験実施は保留、難航している。
本体研究が上手くいかなかった場合の、副次的研究課題の業績として、(主に悪性)脳腫瘍に関連する研究業績を積み上げている。PIが2件の症例報告を行っており、PIが共著者として参加した、ペリサイトの総説、およびスタチンが疾患にあたえる影響に関する総説が査読ありの学術誌に採択された。本研究の手法を応用したcarotid plaqueの遺伝子発現再解析の論文も査読ありの学術誌に発表した。PIはJCOG主導の共同研究や、九州脳腫瘍研究会に参加し、業績の筆者に名を連ねた。RNA-seqについてのプロトコール集も出版された。

今後の研究の推進方策

研究倫理に抵触しないよう留意しながら、BBBモデルでのwet実験の実行を目指す。エクソソーム実験系を確立する。ターゲットとなる遺伝子について、knock down/out/in実験や、薬物スクリーニングなどは今後の課題となると思われる。脳転移巣からの初代培養樹立実験は再開した。(意欲的課題でありる)原発巣(肺がん)からの初代培養における課題解決を目指す。
上記研究計画が順調に進まなかった場合の副次課題として、悪性グリオーマについての研究、方法論が共通するin silico解析、臨床研究、症例研究も並行して進め、本研究から派生した研究成果についても順次発表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染流行に伴う医療現場の混乱が波及し、医療の分担を求められで臨床実務の負担が増加したこと、一部研究実務を担っていた留学生の移動制限などで人手不足が重なり、研究実行事態に大幅な遅延が生じた。そのため次年度使用を申請する事態となった。
具体的研究費用使用計画は以下のとおり。エクソソーム関連の実験計画、解析の具体化を目指すため、関連試薬、実験キット、実験機材の購入予算が必要である。エクソソーム実験系が軌道に乗った場合、miRNAマイクロアレイなどの実施を計画しており、マイクロアレイ実験委託料、および解析料などの研究費用や、real time RT-PCRなどの関連試薬費用の計上が必要になる見込みである。本体研究とともに、研究計画が順調に進まなかった場合の副次課題についてもさらに研究を進める。研究成果が得られて、論文公表に至った場合、オープンアクセスの費用や、in silico解析の公表時に著作権があるデータベースを使用した場合の使用許諾費用が発生する可能性があり、その費用も算定する。不調なコンピューター機材もあり、更新費用を計上する可能性がある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Clinicopathologic analysis of pineal parenchymal tumors of intermediate differentiation: a multi-institutional cohort study by the Kyushu Neuro-Oncology Study Group2023

    • 著者名/発表者名
      Yamashita Shinji、Ujifuku Kenta、Kyushu Neuro-Oncology Study Group、et.al.
    • 雑誌名

      Journal of Neuro-Oncology

      巻: 162 ページ: 425~433

    • DOI

      10.1007/s11060-023-04310-w

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Do neutrophil extracellular traps implicate in atheromatous plaques from carotid endarterectomy? Re-analyzes of cDNA microarray data by surgeons2023

    • 著者名/発表者名
      Takahira Ryotaro、Ujifuku Kenta、Izumo Tsuyoshi、Xie Ang、Okamura Kazuaki、Morofuji Yoichi、Matsuo Takayuki
    • 雑誌名

      Frontiers in Neurology

      巻: 14 ページ: 1-6

    • DOI

      10.3389/fneur.2023.1267136

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 一般公開されたcDNAマイクロアレイデータを用いて、脳神経外科医が自力で行う頚動脈プラーク遺伝子発現解析の試み2023

    • 著者名/発表者名
      氏福健太、高平良太郎、出雲剛、岡村宗晃、諸藤陽一、松尾孝之
    • 学会等名
      第82回日本脳神経外科学会学術総会

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公開日: 2024-12-25  

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