研究分担者 |
須田 智 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00366733)
宮川 世志幸 日本医科大学, 医学部, 講師 (90415604)
笠原 優子 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (90391911)
永田 哲也 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, プロジェクト准教授 (50362976)
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研究実績の概要 |
当初の実験計画では, C57BL/6マウスの一過性中大脳動脈閉塞モデル(tMCAO)を用いる予定であったが, 虚血慢性期の動物の運動・認知機能の評価を行うためには, より生存率の高いモデルを使用する必要があり, CB-17マウスを用いた遠位中大脳動脈永久閉塞モデル(dMCAO)に変更した。羊膜間葉系幹細胞(AMSC)よりエクソソームを抽出し, AMSC由来エクソソーム(AMSC-EXO)をマウスの頸静脈に投与することにより, 虚血7日後において 対照群に比し有意な梗塞および浮腫の縮小効果を認めた。また, 組織免疫染色法にて, 皮質梗塞境界領域における炎症性サイトカイン(TNF-α, IL1-β)発現や活性化ミクログリア(Iba-1)の抑制やFluoro-JadeC染色法による神経細胞死の有意な軽減を認めた。運動機能評価については, AMSC-EXO投与群ではRota-Rod試験において有意な騎乗時間の延長を認めた。また, 認知機能改善効果をみるためにY迷路試験を行ったところ, AMSC-EXO群では動物の正答率は改善傾向であったが,統計学的な有意差は得られなかった。 マウスdMCAOモデルにおいて, AMSC-EXOの静脈投与は抗炎症作用および神経細胞死の抑制効果を認めた。この脳保護効果により, 運動機能の改善が促進された可能性が考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
今回, マウスdMCAOモデルを用いてAMSC-EXO静脈投与により運動機能の改善効果を認めたが、認知機能については有意差が得られなかった。虚血後7日目の評価では早期であった可能性があり,今後は虚血14日後や28日後などにY迷路試験を施行し, より長期的な評価を行う必要があると考えられた。また, 同モデルにおけるAMSC-EXOの血管新生作用についても検討を行う予定である。
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