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2021 年度 実施状況報告書

頭蓋内共振特性に基づく非侵襲的頭蓋内圧測定装置の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K09173
研究機関信州大学

研究代表者

降旗 建治  信州大学, 医学部, 特任准教授 (90021013)

研究分担者 本郷 一博  信州大学, 医学部附属病院, 特任教授 (00135154)
後藤 哲哉  聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (30362130)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード非侵襲的頭蓋内圧モニタ / 伝達関数 / 頸動脈圧脈波 / 外耳道内圧脈波 / 差圧センサ / 呼吸変動波形 / 頭蓋内共振特性
研究実績の概要

緊急医療現場でも使用できる非侵襲的頭蓋内圧(ICP)モニタが外耳道内圧(External Auditory Canal Pressure: EACP)脈波信号解析から実現できるかどうかを検討した結果、頭蓋内共振現象がEACP信号に含まれていることが明らかになってきた。
非侵襲的ICPモニタは、本来頚動脈圧(Cervical Carotid Pressure: CCP)脈波とEACP脈波間の伝達関数法を採用して構成すれば、理論的に明確な頭蓋内共振特性が測定できる。しかし、外力を加えるCCPセンサを患者の頚部位総頚動脈上に設置することは、解剖学的に内頚動脈と総頚動脈との位置関係が左右ともに動静脈が部分的に重なっているため、脳圧を上昇させる恐れがある。そこで、外力を加えないでもCCP脈波が測定できる頚動脈センサの開発は急務である。
本年度、外力無しでもCCP脈波が測定可能かどうか「感度が高い差圧センサ」を用いて検討した。臨床試験は、6名の被験者(男性5、女性1)を対象に実施した。実験条件は、新たに試作した測定器、具体的にはCCP脈波圧センサ、CCP脈波差圧センサ、EACP圧脈波センサ、心電図、および呼吸(インピーダンス法)波形を用いて、ICP値を変化させるために、仰臥位(通常と息む)と座位(通常と息む)姿勢で行った。同時測定データの解析結果から、①頭蓋内共振特性は、被験者の姿勢条件によって「単純な共振特性」になる場合、並びに「反共振特性」を示す場合があることが示唆された。さらに、②圧センサと差圧センサでは、頚動脈波形が異なる傾向を示すこと、および③息むと明らかに共振周波数が上昇する傾向を示すことなどがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

理由
本年度は、コロナ禍のためにインフォームドコンセントにおける印鑑が必要な家族同意等を得ることが困難になり、特に頭蓋内圧が高い患者を対象とした「侵襲センサと非侵襲センサ」による新たな臨床試験データを得ることが困難であった。そのため、測定精度検証に必要なデータの獲得は大幅に遅れているのが現状である。
申請者らは、外力圧が必要ない頚動脈脈波センサの開発も同時に進行させている。その過程で、頚動脈中を前方に伝搬する脈波は、インピーダンスの不一致に遭遇し、部分的に透過し、部分的に反射する。反射波は後方に伝搬し、圧力をさらに上昇させるが、流量は減少する。この進行波と反射波の分離測定を可能とするのは、ウエイブ・インテンシティ(dI)法が有効である。具体的に、圧脈波(dP)および移動する血液粒子の速度(dU)から、次式dI = dPdUで定義される。これまでの観察結果から、差圧センサは、被験者の姿勢によって血流速度波形に近似される場合もあることが示唆された。上記分離測定の可能性、および頭蓋内共振特性が反射波特性に与える影響等の解明は、今後の臨床試験に依存している。

今後の研究の推進方策

新たに試作した測定器は、圧センサによるCCP脈波、差圧センサによるCCP脈波、圧センサによるEACP脈波、心電図、および呼吸(インピーダンス法)波形等が同時計測可能である。
最初に、本研究で新たに提案した「呼吸データに基づくより洗練したICP類推プログラムの開発」を目指し、呼吸波形に基づき分類される「高いICPに対応するEACP脈波群のアンサンブル平均した1パルス脈波波形のスペクトル包絡」と「低いICPに対応するEACP脈波群のアンサンブル平均した1パルス脈波波形のスペクトル包絡」のレベル差特性を求める。得られたレベル差特性は、前者伝達関数のピーク特性、および後者伝達関数のディップ特性として観察でき、求める平均的な共振周波数(NRF)の周波数範囲が明確になる特徴がある。
次に、外力を加えない新型頚動脈差圧センサは、得られた頚動脈脈波信号に対する前処理法を詳細に検討し、適切な入力信号として使用できるかどうかを明らかにする。
今後、特にICP値が高い患者さんのデータが臨床試験によって取得できるかどうかが研究の進展を左右するといえる。

次年度使用額が生じた理由

・コロナ禍等の理由により、臨床試験が実施できなかったため、新たに試作した計測器は、1台にとどめたため、次年度使用額が生じた。

(使用計画)
・次年度使用額は、さらに新しいIoT(Internet of Things)機能を組込んだ計測器を製作するための物品購入に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 非侵襲頭蓋内圧類推への挑戦2021

    • 著者名/発表者名
      後藤哲哉, 田中雄一郎, 降旗建治, 本郷一博
    • 学会等名
      第30回脳神経外科手術と機器学会(CNTT2021)

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公開日: 2022-12-28  

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