研究実績の概要 |
本研究の目的は、深層学習を用いた人工知能(AI)を用いて脳動脈瘤の磁気共鳴流体解析(MRFD)結果の速度ベクトルのノイズを低減し、計算流体解析 (CFD)に匹敵する精度を持つ結果に変換することである。 研究2年目の令和4年度までに、「空間2次元」ノイズ低減モデルを開発後に、空間2次元に時間の要素を加えた「空間2次元+時間」の3次元ノイズ低減モデルを開発し、収縮期や拡張期などの精度向上が認められた。今年度は、次のステップとして、まず「空間3次元」ノイズ低減モデルを開発した。今までと同様にCFDで得られた脳動脈の3方向速度ベクトルデータを正解データ、このデータにMRFDを模倣したノイズを加えたデータを入力データとして作成した教師データを、損失関数が最適になるようにノイズ除去モデルWin5-RBに学習させた。血流速度ベクトルの角度類似指数 (Angle Similarity Index, ASI)・強度類似指数 (Magnitude Similarity Index, MSI)について、「空間2次元」よりも精度が向上した。しかし、「空間2次元+時間」ノイズ低減モデルと比較して、精度が悪かった。次に、今までの経過から精度がもっとも良好になると推定されたのは、「空間3次元+時間」ノイズ低減モデルであった。このため、「空間3次元+時間」ノイズ低減モデルの構築を目指してWin5-RBを用いて学習させ、最適化されたと考えられた条件で、「空間3次元+時間」と「空間2次元+時間」モデルの精度を比較したところ、前者が後者を上回ることはなかった。原因として、Win5-RBでは「空間3次元+時間」が確立されていない可能性もあるため、他のモデルで様々な試行錯誤を試みたが、完成に至らなかった。今後は、新たなモデルの開発も含め、「空間3次元+時間」ノイズ低減モデル完成を目指して研究を続ける予定である。
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