研究課題/領域番号 |
21K09191
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
岩田 亮一 関西医科大学, 医学部, 非常勤講師 (60580446)
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研究分担者 |
林 美樹夫 関西医科大学, 医学部, 講師 (10368251)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | がん / 脳転移 |
研究実績の概要 |
がん遠隔転移の機序はいまだ不明な点が多く、脳転移を抑制する薬剤はない。また、脳は脳血液関門により薬剤が到達しにくいため、抗がん剤は不応性である。現在、転移性脳腫瘍に対する治療は、手術切除と放射線治療が標準的治療であり、患者の予後は悪い。がんの発生かつ治療抵抗性の根源として、がん幹細胞の存在が提唱されている。そのため、がん幹細胞を標的とした治療薬の開発が世界中で行われている。脳転移巣には脳指向性を有するがん幹細胞が存在する。がん細胞が脳転移を起こすには、間葉系に転換するなどの過程が必要である。自己複製能と分化能を有するがん幹細胞は、表現型を自由自在に変化させることで、転移に必要な能力を獲得していると考えられる。そして、脳転移巣には脳転移開始細胞が濃縮されていると予想される。本研究では、ニューロスフェア・アッセイを用いて、転移性脳腫瘍の切除組織から、がん幹細胞を樹立した(7症例)。そして、肺小細胞癌由来のがん幹細胞において、制御性T細胞調節因子であるICOSLGが細胞膜に分布することを認めた。そこで、遺伝子変異、スプライシングバリアントおよび融合遺伝子を明らかにするために、4症例の肺癌脳転移由来のがん幹細胞からRNAを抽出し、RNAシーケンスを実施した。しかし、ICOSLGの遺伝子の発現を検出できなかった。従って、データベースを用いた解析により、ICOSLGの転写因子の候補としてSP2およびSPl1を抽出した。がん幹細胞は、これらの転写因子を発現している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
転移性脳腫瘍由来のがん幹細胞において、ICOSLGの転写産物とタンパク質の発現量には乖離があることが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
免疫組織化学法を用いて、転移性脳腫瘍の病理組織標本におけるICOSLGの発現量と分布を調べる。ICOSLG発現と患者の予後との因果関係を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定よりも少ない試薬を用いて効率よく実験を遂行できたため、次年度使用額が生じた。消耗品費(免疫組織学用試薬)に充当する。
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