研究課題/領域番号 |
21K09192
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
中山 寛尚 広島国際大学, 保健医療学部, 講師 (40512132)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 軸索誘導因子 / ネトリン / 転移 / 髄芽腫 / 癌幹細胞 |
研究実績の概要 |
小児脳腫瘍である髄芽腫(medulloblastoma)は、小脳に発症する悪性腫瘍である。これまでに、髄芽腫細胞が分泌する『軸索誘導因子netrin-1』が髄芽腫細胞の浸潤性や血管新生を誘導することを見出した。そこで、netrin-1が髄芽腫癌幹細胞とその周辺環境組織に影響を与える『癌微小環境制御因子』ではないかと考えた。本研究では、髄芽腫癌幹細胞におけるnetrin-1とそのレセプターの役割を解明し、髄芽腫幹細胞のnetrin-1シグナルを標的とする阻害剤の探索・開発を行い、新たな髄芽腫治療薬の開発を目指す。 本年度においては、髄芽腫幹細胞におけるnetrin-1の役割を解析するためnetrin-1のノックアウト細胞の作成に着手している。そのために、netrin-1を標的とするCRISPR-Cas9ベクターを作成し細胞に遺伝子導入した後、フローサイトメーターにて単離培養を行いクローンを得た。ウエスタンブロットにてnetrin-1のノックアウトを確認後、癌幹細胞形成に対する影響を浮遊培養およびCD133マーカーの発現変化を検討する予定である。 Netrin-1リガンドとUNC5Cレセプターに対する阻害剤のスクリーニングの準備として、アルファスクリーニングを開始している。全長netrin-1とUNC5Cに対する結合においては得られたシグナルが薬剤スクリーニングをするには十分ではないことが明らかとなった。今後は、より高いシグナルを得るために合成するペプチド部位の条件検討が必要であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度はnetrin-1-CRISPRベクターの構築と、遺伝子導入した細胞の単離培養からクローニングをすることに成功している。またnetrin-1リガンドとUNC5Cレセプターに対する阻害剤のスクリーニングの準備も着実に進んでおり、次年度に向けての改善点も明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
まずはクローニングした数種の細胞株からウエスタンブロットにてnetrin-1のノックアウトの確認を行う。さらにゲノム上の遺伝子編集をDNAシークエンスにて確認しnetrin-1ノックアウト細胞を完成させる。その後、これらの細胞を用いて癌幹細胞形成に対する影響を浮遊培養およびCD133マーカーの発現変化を検討する予定である。 阻害剤スクリーニングにおいては、netrin-1リガンドとUNC5Cレセプターの結合最小部位のペプチドを作成し、再度アルファスクリーニングを行い適切な条件検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定の学会がオンラインとなり出張宿泊費が必要なくなったこと。次年度は学会参加を予定しており、翌年度分と合わせて使用する予定である。
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