研究課題/領域番号 |
21K09193
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
森岡 基浩 久留米大学, 医学部, 教授 (20295140)
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研究分担者 |
広畑 優 久留米大学, 医学部, 教授 (40218863)
長谷川 雄 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 教授 (40599114)
折戸 公彦 久留米大学, 医学部, 講師 (50597408)
坂田 清彦 久留米大学, 医学部, 講師 (90368936)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脳内出血 / 血圧管理 / 再出血 |
研究実績の概要 |
“脳内出血の転帰改善を目指した選択的/積極的/短時間降圧療法の開発”はその根幹をなすものが 1)搬入後造影CTにて出血増大高リスク患者(Leakage sign陽性患者)を選択し選択的・短時間・強力降圧治療法を行うという前向き多施設共同研究であるが、まずこの研究を進めるために院内倫理委員会の承認を得て関連施設と共同して脳内出血の患者の登録/治療振り分けのシステムを構築した。各施設にて脳内出血の患者が搬入され造影CTにてLeakage sign陽性であることが判明すると電話連絡にて患者情報を入力すると登録用PCにて交絡因子を除いて自動的に降圧療法の振り分け(積極的降圧群;120mmHg以下、と従来の降圧群;140mmHgの2群)に振り分けが行われる体制を構築した。各施設はこの治療法に則り6時間だけ厳密な降圧が行われる。現在すでに10数例が登録され臨床研究は進行中である。現在のところ積極的降圧群では血腫の増大例が見られていない。さらに積極的降圧では腎機能障害などの可能性が考えられているが一時的尿量の減少はみられるもののその後血圧管理を従来のものに戻すと尿量は全例正常となり副作用と思われる事象は見られていない。現在のままで継続することに問題はないと判断している。次に2)として初期対応時の脳出血早期診断のスコアリング開発はシンシナティー病前脳卒中スケールに嘔吐と高血圧180mmHg以上のスコアをつけて過去の症例を分類している。現在前向きに救急隊と協力して診断の精度を確認する予定であったが現在のコロナ感染の状況で困難な状況である。3)動物実験に関しては現在ラットに定位的に自己血を注入する実験系を確立し組織学的に判定項目を検討中である。さらにラットの降圧治療の方法を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
根幹となる前向き試験の体制は完成しており現在症例登録が進んでいる。しかしながらコロナウイルス感染が第6波の時期には病院として患者の分別が行われ最も対象となるべき軽症から中等症の脳内出血患者が減少したため登録が予定通りの症例数にはまだまだ不足している状況である。 また救急隊との共同研究もこういった事情で思うような対応ができないため当初の予定の病前診断が正確におこなえず症例数が完全に不足している 動物実験に関しては動物の入荷の遅れはあるものの概ね予定通りと言えると考えられるがその評価方法、降圧療法の確実性についてはまだ十分確立されているとは言えない
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今後の研究の推進方策 |
方法論的には概ね確立されており基本的には症例数が必要であるが現在のコロナウイルスの感染状況では十分な蓄積は難しい。そのため協力施設を増加させることも考慮している。
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次年度使用額が生じた理由 |
進捗状況として根幹となる前向き試験の体制は完成し現在症例登録が進んでいる状態であるが、コロナウイルス感染が第6波の時期には病院として患者の分別が行われ最も対象となるべき軽症から中等症の脳内出血患者が減少したため登録が予定通りの症例数にはまだまだ不足している状況である。また救急隊との共同研究もこういった事情で思うような対応ができないためにデーターが統計解析できるほどに揃っていない。そのために共同研究施設との連携も少ない。またコロナウイルス感染蔓延により当初予定していた関連施設との連絡もできていないところが散見される。このために経費の使用が当初の予定通りとなっていないことが最大の要因である。 また同じ理由により実験動物/実験機材/試薬の納入にも遅れが生じており予定量の使用に達していないこともその理由である。 今後感染の減衰/重症度の低下が予想され、関連施設との連絡や実験試薬の購入が増加することが予想されるので来年度は十分な使用が見込まれている。
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