研究課題/領域番号 |
21K09193
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
森岡 基浩 久留米大学, 医学部, 教授 (20295140)
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研究分担者 |
広畑 優 久留米大学, 医学部, 教授 (40218863)
長谷川 雄 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 教授 (40599114)
折戸 公彦 久留米大学, 医学部, 講師 (50597408)
坂田 清彦 久留米大学, 医学部, 准教授 (90368936)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 脳出血 / Leakage sign / 降圧療法 |
研究実績の概要 |
1)単施設でのLeakage sign (LS)-脳出血増大の検討:2013年から2020年までの8年間の507症例の検討を行ったところ脳出血患者のLS陽性率は37.7%であった。急性期手術などの症例をのぞいて24時間後の出血増大例を検討すると LS(-)では2.6% (5/191), LS(+)では57.7% (45/78) (P<0.05)であり LSは特に出血の増大の最も有用な関連因子であり増大予測が可能となることが判明した。さらにLS(+)患者の出血増大因子に入院後の血圧が強く関連していることが明らかになり入院後の降圧が出血増大を抑制できうる可能性が支持された。 2)これらの結果をもとに積極的降圧(120以下)とガイドライン通りの降圧治療(140まで)とを比較する前向き他施設研究を計画した。降圧は140以下は腎機能障害などの副作用発現率が高くなることが報告されていた(Neurology 2015, INTERACT-2 study)がこれは長時間の降圧治療の結果であることから本試験では6時間のみの積極的降圧を行うこととした。 “非外傷性脳内出血直後における強化降圧療法の有効性と安全性に関する臨床試験”として7施設が参加して入院時LS陽性の有無により無作為に2群に振り分け、降圧療法を行い血腫の増大の有無を検討する試験(久留米大学倫理委員会承認番号23126)を開始した。現在のところまだ症例の集積は少ないが、強化降圧群では出血増大率10.5% (2/19)、通常降圧群62.5% (5/8)と有効性が示唆されている。また腎機能障害などの重篤な副作用は認められていない。今後もこの臨床試験を継続して結果を確認してゆく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
積極的降圧療法の無作為試験を行うための準備に時間がかかっていたことが最大の理由と考えられる。このLeakage signは急性期に造影CTを行いCT-angiographyを行いさらにその後5分後に再度CTscanを行わなければならないが 各施設の放射線科などからその必要性について疑問が呈せられ各施設で承認までに時間を要していた。これらは血管病変が疑われる症例では必ず行う検査であること 5分間再検査までCTベッド上で待機することで今までに何も支障がなかったことなどをそれぞれ説明してゆくことで解決できたが 当時はまだCOVID-19が5類となる前であり各施設への訪問/検討などに多くの支障があり説得に時間を要したことが最大の要因であった。 さらに動物実験が実験施設の事情などにより予想通り進行しなかったことが動物実験のデーターが現時点で遅れている理由である。
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今後の研究の推進方策 |
現在は積極的降圧の臨床試験はすでにスタートされ順次症例が登録されていっている。このペースであれば事前の必要症例に到達してゆくと思われる。 動物実験も体制がほぼ出来上がりつつあり実験担当者も環境が整備されていることから これからデーターが得られるようになると予想している。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在他施設共同で前向き試験を行なっているが ようやく開始できた状態で今後連絡/会議などの費用が必要であり さらにデーターの解析、論文作成の費用が必要であるため。
交通費:10万円 会議/連絡費:5万円 データー集積統計解析費:5万円などを予定している。
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