研究課題/領域番号 |
21K09199
|
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
市川 二郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任准教授 (00456469)
|
研究分担者 |
菰原 義弘 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (40449921)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 骨肉腫 / マクロファージ / TAM |
研究実績の概要 |
停滞した骨軟部肉腫の化学療法を発展するために、申請者らは腫瘍微小環境を新規治療ターゲットとして、凝固系や血小板の肉腫進展への役割を報告した。それを更に発展すべく、本研究ではマクロファージ、中でもM2-腫瘍随伴マクロファージ(TAM)に着目した。癌腫におけるTAM発現の意義と治療ターゲットに関して明らかにしたが、骨軟部肉腫での役割は不明であった。我々は、CD163陽性TAMが骨軟部肉腫の増殖転移に関与すること、更にTAM作用薬の一つであるCSF-1R阻害剤のヒト骨肉腫細胞への抗腫瘍効果を確認した。本研究では、詳細なTAMの役割を解明すべく、①肉腫細胞により誘導されたTAMの分子細胞学的なプロファイリング、②そのTAMが産生する液性因子とそれに対する肉腫の応答性、③TAM作用薬の肉腫への単独効果、及び既存抗がん剤との併用効果を検討し、新規治療へ発展させることを目的とする。2021年度は肉腫により誘導されるTAMの分子細胞学的プロファイリングに関してを検討した。まず、ヒト単球由来マクロファージ、マウス骨髄由来マクロファージの培養に関しては、過去の報告同様にインターフェロンγ、LPSなどによるM1への分化、IL-4,IL-13などによるM2への分化を確認した。そののち、ヒト骨肉腫細胞143Bの培養上清によるマクロファージの分化を確認した。M1マーカーとして、CD80、CD86、GBP5を、M2マーカーとしてCD163、CD206、CD204をPCRで検討した。この結果、GBP5、CD163、CD206の発現上昇を見た。M1,M2マーカーの発現上昇を認めたため、癌腫でのTAMマーカーとは異なる可能性がある。なお、液性因子に関しては、IL-8をはじめいくつかのケモカイン産生の上昇が確認できたため、今後それぞれのケモカインと骨肉腫の相互作用を検討する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
骨肉腫が誘導するTAMのマーカーが、M1、M2とも上昇を見たため、一般にM2マーカーがTAMのマーカーであるが、骨肉腫を初めとした肉腫ではそれが当てはまらない可能性があり、更なる検討が必要と思われた。
|
今後の研究の推進方策 |
上記のマーカーに関しては、今後DNAアレイの施行を計画している。網羅的に解析することで、骨肉腫由来TAMの特徴をつかみたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実験項目が減ったことと、当初予定より進まなかったため。 次年度はELISA、抗体の購入を予定している。
|