研究実績の概要 |
1. 令和3年度に確立した関節炎周囲疼痛モデルを用いてビスフォスフォネート(BP)による治療効果検討し、関節炎周囲関節において疼痛が改善することを見出した.8週齢雌DDYマウス足背に炎症物質Complete Freund's adjuvant(CFA)を投与して足趾関節炎を生じさせる.CFA投与後1週後よりアレンドロン酸(ALN)(治療群)および生食を1週間投与した(無治療群).コントロール群には生食を1週間投与した.CFA投与2週後(治療1週後)にvon Frey filament testにより膝関節を刺激して疼痛関連行動の評価を行った.疼痛評価においてCFA投与後無治療群はコントロール群と比較して有意に膝関節の疼痛閾値が増加し,疼痛過敏が認められた.CFA投与後ALN投与群では無治療群と比較して有意に膝関節の疼痛閾値が低下していることを見出した. 2.関節炎周囲疼痛モデルにおいてBP治療により,疼痛閾値上昇部位の骨粗鬆化が改善していることを見出した.上記1マウスを安楽死後μCTを用いて骨塩定量および骨形態計測を行い,脛骨近位部の骨塩定量および骨形態計測で評価した.CFA投与後無治療群はコントロール群と比較して有意に骨粗鬆化が認められた.CFA投与後ALN投与群では無治療群と比較して有意な骨粗鬆化の改善が認められた. 3. 関節炎周囲疼痛モデルにおいてBPによる治療で下肢骨当該領域の後根神経節に疼痛関連タンパクの上昇が抑制されることを見出した.上記1マウスの下肢骨当該領域の後根神経節第4腰髄神経根を採取し,免疫組織学的に疼痛関連タンパクcalcitonin gene-related peptide (CGRP)を評価した.CGRPの発現はCFA投与後無治療群ではコントロール群と比較して有意に上昇し,CFA投与後ALN投与群は無治療群と比較して有意な発現抑制が認められた.
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