超高齢社会である我が国において、腰痛の病態解明は喫緊の課題である。我々は臨床研究において腰椎椎体終板障害が高齢者の腰痛に強く関与していることを報告している。今回我々は遺伝子発現ネットワークを司るmicroRNA(miRNA)のノックアウトマウスを用いて、miRNAの軟骨終板変性における機能を解析する。 まずは野生型マウス(C57BL6/J)の自然経過において、生後18か月齢までの腰椎の軟骨終板の組織学的評価を行った。それによると、軟骨終板の骨組織への置換は生後3か月齢より生じ、順次骨化が増大(成熟)した。生後12か月齢より骨化内の硬化性変化を生じ変性が進行した。また椎間板の末梢側の軟骨終板よりも中枢側の軟骨終板においてより早期に骨化を生じ拡大した。これらの軟骨終板の組織学的評価は独自のスコアリングを用いて評価した。 続いて軟骨で発現の高い2種類のmiRNA(miR-23a/b クラスターおよびmiR-26a)のノックアウトマウスを用いての軟骨終板の評価を行った。組織学的所見では、miR-26aのノックアウトマウスではコントロールと比べ軟骨終板の変化に明らかな差は認めず、miR-23a/b クラスターのノックアウトマウスでは、軟骨終板の成熟は抑制されていた。また、miR-23a/b クラスターとmiR-26aのダブルノックアウトマウスにおいても軟骨終板の成熟は抑制されていた。一方、椎間板の組織学的評価では、miR-26aのノックアウトマウスでは椎間板変性の進行は認めなかったが、miR-23a/b クラスターのノックアウトマウスおよびmiR-23a/b クラスターとmiR-26aのダブルノックアウトマウスでは、椎間板変性の進行を早期から認めた。
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