研究実績の概要 |
研究期間全体を通して、静電容量型センサ素子による足関節不安定性の定量的評価を行うことが可能となった。 Thiel法固定遺体の足・足関節5体を用いたバイオメカニクス研究では、正常足関節に静電容量型センサ素子を装着したサポーターを装用し、前方引き出しテストにおける前方引き出し量を計測した。その後、前距腓靭帯損傷モデル、踵腓靭帯損傷モデルを作製し、同計測を行った。その結果、検者内相関係数0.949~0.966、3検者間級内相関係数0.815と高い精度での定量的評価が可能であることを証明した。 臨床では、陳旧性足関節外側靱帯損傷によって足関節不安定感を主訴とした患者22例を対象として静電容量型センサ素子による足関節不安定性評価を行った。同時に、テロスデバイスを用いてレントゲン撮影室で前方引き出しストレスと内がえしストレスを加えてのストレスレントゲン撮影を行った。その結果、Pearson相関係数0.843 (p < 0.001, 95%信頼区間 0.65-0.93)とストレスレントゲンと静電容量型センサ素子の高い相関関係が証明された。また、鏡視下足関節外側靱帯修復術を行った結果、足関節不安定感は全例で改善または消失し、静電容量型センサ素子による前方引き出し量は術前10.5mmから術後4.6mmに改善した。さらには、研修医と専門医の間で前方引き出し量の計測誤差が生じにくいsupported anterior drawer test (ADT)を開発し、その精度評価を行った。 これらの研究実績は日本整形外科学会や日本足の外科学会、American Orthopaedic Foot & Ankle Societyなどの国内外学会において発表し、Foot and Ankle InternationalやOrthopaedic Journal of Sports Medicineといった英文雑誌に掲載された。
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