研究課題/領域番号 |
21K09209
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
高橋 謙治 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30347447)
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研究分担者 |
松田 修 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00271164)
新井 祐志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50347449)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 温熱療法 / HSP70 / 軟骨 |
研究実績の概要 |
温熱療法は変形性関節症(osteoarthritis:OA)に対する保存療法の一つである。基礎研究で温熱刺激の高い軟骨保護効果は認められるが、人体では深部まで熱エネルギーが届きにくく、新たな温熱刺激技術が必要である。光増感物質は近赤外線照射で温度が上昇し、光の照射を調整することで組織内の温度やその持続時間を制御できる。そのため、光増感物質を関節腔内に投与し外部から近赤外線を照射すれば、高い精度で関節内の温度制御が可能となり、関節全体に均一な温熱効果をもたらすことができると考える。 光増感物質による温熱効果、軟骨代謝に及ぼす影響についてin vitroで検討した。 培地にインドシアニングリーン(indocyanine green:ICG)を添加し、2.5 g/l、1.0 g/l、0.5 g/l、0.1g/lのICG含有培地とした。37℃恒温室で800nmの近赤外線を出力、照射距離を調整して照射し、培地の温度上昇を測定した。培地の温度は濃度や出力などを変更することにより37-42℃で調整可能であった。 wistar系ラットの肩関節、股関節、膝関節から軟骨組織を採取し、軟骨細胞を単離し培養した。その後ICG含有培地の温度を40℃まで上昇させる条件で800nmの近赤外線を30分照射し、HSP70の遺伝子発現を測定した。HSP70の遺伝子発現は増加したが有意ではなかった。培地の温度上昇に時間がかかり有効な熱刺激を与えられた時間が短かったためと考えられる。以上のことから光増感物質により、意図した温熱刺激を与えることが可能であり、適度な温熱刺激を与える条件設定を検討することで軟骨保護効果を発揮できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroでの温熱刺激の条件設定はある程度確立できており概ね順調であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
軟骨保護効果を効率的に発揮する光増感物質の濃度や近赤外線照射の条件設定を検討する。 この検討に加え、動物OAモデルを使用して光増感物質による熱刺激が軟骨代謝に及ぼす影響について検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
温熱刺激条件の検討などに時間を要し、その後の研究試薬購入を先送りしているため。
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