神経障害に伴う神経栄養血管の血流評価は、診断と治療の向上に不可欠です。従来の評価法では、神経栄養血管の微小血流の変化を捉えることが困難であり、新たな手法の開発が求められていました。本研究では、神経障害における血流評価法としてフルオレセイン蛍光造影法を使用し、その有効性をラットおよびウサギの坐骨神経慢性絞扼モデルを用いて検証しました。 フルオレセイン蛍光造影法の対照方法として、神経の血流計測に一般的に用いられるレーザードップラー血流計を利用しました。研究の初期段階では、ラットを用いた神経絞扼モデルで実験を行い、絞扼週数が増えるにつれて両計測方法で血流が有意に低下することが確認されました。これにより、フルオレセイン蛍光造影法が神経絞扼モデルでの血流評価に有効であることが示されました。 最終年度では、より大型の動物モデルとしてウサギを用いた研究を行いました。ウサギの坐骨神経を用いて、前述の2つの方法でどのような差が生じるかを検討しました。ウサギモデルでは、フルオレセイン蛍光造影法が損傷部位の微小血流も検出可能であることが示され、レーザードップラー血流計では捉えられない微細な血流の変化を評価する有効な手段であることが確認されました。 今後の研究では、本研究結果を踏まえて、神経障害の診断および治療法の実臨床に活用することが期待されます。このように、新たな血流評価法の開発と検証は、今後の神経障害治療の新しい基準となる可能性があると考える。
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