研究課題
・踵部脂肪体の荷重形態変化測定に向けた評価器具の開発踵部脂肪体は荷重に伴って変形する、ワイドレンジな形態的特性を有する組織であるものの、これまで荷重位での形態的変化を直接的に定量評価する方法は確立されておらず、明らかにされてこなかった。これらの問題を解決すべく、申請者研究室所属兼本研究協力者でもある松本氏を筆頭に荷重測定器具を開発し、超音波のような精密機械を保護しながら、荷重位における踵部脂肪体の形態計測をすることが可能となった。機材の信頼性を検者内・検者間の観点から確認したところ、誤差なく、信頼性の高い値が得られることを確認できた。この成果は国際誌にも掲載され、来年度以降行う測定の基盤となる研究となった。・踵部脂肪体の力学的特性(弾性)評価荷重により変形した踵部脂肪体は高弾性(硬い)(約500kPa)であることから、従来のSWE測定許容範囲を越えるため、これまで測定することが出来なかった。そこでキャノンメディカルシステムズ株式会社開発部と協議、改良を進め、shearwave elastographyによる700kPaまでの弾性測定が可 能となった。今年度この機能が完成し、予備実験にて数名の荷重弾性変化を測定し、測定が可能であることが確認できたため、来年度は形態的観点のみならず、力学的観点からも研究を進めていく。
2: おおむね順調に進展している
2021年(令和3年度)は、踵部脂肪体の荷重に伴う形態特性(厚さ)変化を中心に、測定を行った。力学特性(弾性)変化に関しては信頼性検討の予備実験を並行して行った。形態特性変化に関して得られた成果は『日本整形外科超音波学会』『日本臨床スポーツ医学会』『日本足の外科学会』にて発表し、高い評価を得た。また、これらの発表内容を形にまとめ今年度は医学雑誌2本、国際誌1本でアクセプトされている。また、1本は国際誌に現在投稿中の段階にある。当初予定していた踵部痛患者を対象とした測定は、新型コロナウイルスが終息していなかったため、病院での測定が困難と判断し、本年は取り組むことが出来なかった。
2022年(令和4年度)は、踵部痛患者を対象に測定が実施出来るよう、現在感染予防策を徹底の上、準備を進めている段階である。また、病院だけではなく、大学保健センターで診察するスポーツ選手など、踵部痛既往歴の者や踵部に頻回に負荷を加える競技種目に取り組む選手などに着目し、被験者対象領域を広げた、新たな視点も模索している。具体的な例として、裸足競技で取り組む柔道や剣道選手、踵部を頻回につくバドミントンやフェンシング選手などが挙げられる。得られた成果はその都度、学会、論文の形にし、世に発信していく予定である。現状コロナ終息はまだ先であるが、その中で出来ることを懸命に取り組んでいきたい。
2021年度(令和3年度)は踵部痛患者を対象に病院での踵部脂肪体の形態と機能特性を測定予定であった。しかし、新型コロナウイルス蔓延による影響で測定の実施が困難となり、延期を余儀なくされた。2021年度繰越費用約25万円は、測定が実施出来た際に被験者へお支払する予定であった協力謝金、並びに検者の移動・宿泊費、機材借用・輸送費等に使用予定であった費用である。2022年度は、昨年実施出来なかった病院での踵部痛患者の測定を、繰越費用を用いて、実施する方向で現在準備を進めている。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (15件) (うち招待講演 5件)
臨床スポーツ医学
巻: 39 ページ: 474-479
Ultrasound Medicine & Biology
巻: 48 ページ: 358-372
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『関節外科』 10月増刊号
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Research in Sports Medicine
巻: 22 ページ: 1-11
10.1080/15438627.2021.2002330