研究課題/領域番号 |
21K09234
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
岡田 博 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (90896721)
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研究分担者 |
河村 健二 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (20445076)
面川 庄平 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70597103)
前川 尚宜 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (90596660)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 切断肢 / 液体窒素 / Cryopreservation技術 / 凍結法 / 解凍法 |
研究実績の概要 |
四肢切断に対する再接着術は、常温では6時間以内、低温(2~4°C)保存下では24時間以内が限界とされてきたが、近年になって切断指を液体窒素処理で保存する ことで5日~81日後に再接着術が可能であった臨床例が中国から報告されている。しかしながら、四肢を構成する様々な器官や組織の長期保存に伴う変化や再接着 後の安全性や活動能力についての基礎的研究結果は乏しく、臨床応用の拡大は懸念される。本研究では、ラットを用いてCryopreservation技術で凍結保存した切 断肢の再接着実験を行い、切断肢の新たな保存限界時間、安全かつ有効な長期保存方法 、再接着後の運動器官の変化や能力を調査し、切断肢の長期保存技術を 確立することを目的とする。 実験動物としてはFischer 344ラットを用いた。15週齢のラット片側後枝を下腿中央で切断して凍結方法及び解凍方法についての研究を本年度に行なった。切断 肢は凍結後、14日以上経過してから解凍を行なった。凍結法として切断肢をガーゼでくるみ、それを滅菌ゴム手袋の中に密閉した後に液体窒素につけて急速凍結 を行う方法、解凍方法として45°Cの0.9%の生理食塩水に15分間つけ、その後50mlのマンニトール、25,000Uヘパリン、デキサメサゾン4mgを含んだ16°Cの溶解液 につける緩徐解凍法を行った。同方法での解凍肢の状態は特に切断直後の下腿と肉眼的には遜色なく、血管縫合も可能であることが判明したが、長期間の生着が可能かどうか、また緩徐凍結法でも血管縫合が可能か実験中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標としては切断肢の複数の凍結法及び解凍法を施行し、血管縫合が可能かどうかを検討した。切断肢をガーゼで包み液体窒素につける急速凍結法、お よび45°Cの0.9%の生理食塩水に15分間つけ、その後50mlのマンニトール、25,000Uヘパリン、デキサメサゾン4mgを含んだ16°Cの溶解液につける緩徐解凍法で行 なった切断肢は血管縫合が可能であることが判明した。長期間再接着肢が生着するかを現在検討中であり、また緩徐凍結法でも血管縫合が可能か実験中である。
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今後の研究の推進方策 |
急速凍結法もしくは緩徐凍結法の最適な凍結法及び解凍法を確立し、解凍後の組織評価を行う。組織評価としては骨、筋肉、神経、皮膚を組織サンプルとして採取し、組織標本を作 製する。また様々な凍結解凍法を行なった後の生着率を観察することで最適な保存方法と解凍方法の検討を行う。7日後に生着が得られた再接着肢も同様に組織 評価を行う。再接着肢およびコントロールである再接着を行っていない健肢の組織標本と比較することで、組織の変性所見を定性的に分析する予定である。
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