研究課題/領域番号 |
21K09241
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
善家 雄吉 産業医科大学, 医学部, 准教授 (80615930)
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研究分担者 |
安藤 恒平 産業医科大学, 医学部, 助教 (80899518)
宮原 敏 産業医科大学, 医学部, 助教 (50878329)
齋藤 光正 産業医科大学, 医学部, 教授 (00315087)
濱田 大志 産業医科大学, 医学部, 助教 (20899306)
石川 成人 産業医科大学, 医学部, 助教 (50848314)
眞田 彩華 産業医科大学, 医学部, 助教 (10887045)
酒井 昭典 産業医科大学, 医学部, 教授 (90248576)
真弓 俊彦 産業医科大学, 医学部, 教授 (90281071)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | MRSA / アミノグリコシド耐性遺伝子 / バイオフィルム |
研究実績の概要 |
臨床で分離されたMRSAについて 1. アミノグリコシド(AMG)耐性遺伝子を調査する。2. 菌の増殖やバイオフィルム形成を阻止するGMの最小濃度を調査する。これらの研究結果を踏まえて、臨床使用においては使用抗菌薬の投与量を減らせ、また全身的な副作用や局所の細胞傷害性を減らせる可能性がある。さらに抗菌薬適正使用は、耐性菌出現を防止することにも貢献する。 また、AMG耐性遺伝子のあり、なしにより、必要な抗菌薬濃度や暴露時間が異なるかいなかについて調査して行く。今後これらの基礎実験の結果が明らかになることで、現在、臨床例として使用している、持続局所高濃度抗菌薬灌流療法で用いているゲンタマイシンの量(濃度)や暴露時間(期間)を最適化することが可能になると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1) 産業医科大学病院の細菌検査室において分離されたMRSA 100株 を収集する。 2) 各分離株をトリプトソイ液体培地 (TSB)5mLに接種し、37℃で一晩培養する。 3) 培養した菌をPBSで洗浄後、キットを用いてDNAを抽出する。 4) 精製した各DNAについてPCR法を用いて次の遺伝子を検出する。 ・ MRSAであることの確認・・・ mecA ・ 報告されているMRSAの3種類のAMG耐性遺伝子(AME遺伝子)・・・①aac(6’)-Ie/aph(2”), ② aph(3’)-IIIa, ③ant(4’)-Ia ※ 各PCRのプライマーと増幅条件は(Seyed MM et al, Jundishapur J Microbiol. 2016 Aug; 9(8): e35052.)に準じて行う。
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今後の研究の推進方策 |
1.【MIC, MBCの測定】1) 対象抗菌薬をそれぞれ液体培地に溶解し,その2倍希釈系列を各列のウェルに作製する。2) 35℃で一晩培養し、菌の発育がみられない最小希釈濃度をMIC値と判定する。3) MBCを決定するために、3)で菌の増殖が認められなかったウェルの培養液をPBSで10倍および100倍希釈し培養する。コロニー数が接種時よりも著しく減少している濃度を最少殺菌濃度(MBC)として判定する。 2.【MBIC, MBECの測定】1) 培養したMRSA分離株をMHBで希釈し、96ウェルプレートに注入する。96-peg Lid を被せ、37℃で24 時間培養してバイオフィルム(BF)を作らせる。 2) MHB 培地に対象抗菌薬を溶解してフィルター濾過滅菌し、その2倍希釈系列を作製する。3) 1)で作成した96-peg Lidを滅菌PBSで3回洗浄してBFを形成していない浮遊性細菌を除去し、2)のプレートに置いて24時間培養する。4) 培養後 peg Lidを外し、視認にて菌発育がみられない最小希釈濃度をMBIC値と判定する。5) MBEC値を決定するために、peg Lidを滅菌PBSで3回洗浄し、新鮮なMHBを満たした新しいプレートに入れ、超音波処理を行って菌を分散させる。菌分散液をPBSで希釈し培養する。コロニー数が著しく減少している濃度をMBECと判定する。 3. 持続局所抗菌薬灌流療法(CLAP)に使用するGMの適正使用量の検討 1., 2.の調査結果からMRSAに対するGMの適正濃度を決定し、病巣の薬剤分布を考慮してCLAPにおけるGM適正使用を検討する。・ AMG耐性遺伝子の保有の有無に分けて検討する。・ 感染予防と感染沈静化の2つに分けて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は立ち上げからゼロスタートの研究であり、次年度も引き続き、新規器材、薬液の購入などを予定しているため。 次年度への使用額10195円が生じた理由としては、必要購入物品の定額によるところがあり、調整が困難であったため。
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