研究実績の概要 |
本研究の目的は、SpAモデルマウスを作製し、アキレス腱付着部炎と骨新生に関与する分子制御機構を解析することで、新規治療標的分子を同定することとし、①プロテオグリカン誘発性SpAモデルマウスの作製と付着部炎評価、②付着部炎の発生起源の同定とSpAモデルマウスの作製、③同定した標的シグナル分子に作用するシード化合物の探索およびシード化合物投与による付着部炎抑制効果の検証を計画した。 脊椎関節炎モデルマウスを作成するにあたり、ヒト関節軟骨より得られるプロテオグリカンを抗原とするため、変形性膝関節症に対して人工膝関節全置換術を施行された際に切除された関節軟骨を採取した。過去の文献に記載されたプロトコールを参考にして、塩化セシウム平衡密度勾配遠心法(10度 48時間37,000rpm)、透析(Slide-A-Lyzer G3透析カセット)、薬剤処理を行い、プロテオグリカンを精製した。 精製したプロテオグリカンを24-26週齢のメス BALB/cマウスに complete Freund’s adjuvant(CFA) とともに腹腔内投与(プロテオグリカン100μg + CFA 100μl)し、初回投与後3週と6週にPG を incomplete Freund’s adjuvant(IFA) とともに腹腔内投与(プロテオグリカン100μg + CFA 100μl)した。初回投与後、10週後にマウス後肢の組織標本を作製して組織学的解析を行った。しかし、既報のようなアキレス腱付着部炎、および関節炎は生じていなかった(下図)。繰り返し実験を行ったが、プロテオグリカン誘発性SpAモデルの作製が再現できず、研究を断念した。
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