研究課題/領域番号 |
21K09254
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
金泉 新 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (90813618)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 人工関節 / 股関節 / アライメント / バイオメカニクス / 有限要素解析 |
研究実績の概要 |
人工股関節全置換術(以下THA)は,本邦では年間10万件以上行われ,増加傾向である.人工股関節の大腿側の機種(以下ステム)に関して,本邦では初回THAではセメントレスステムが主流となっている.セメントレスステムは数十社の医療機器メーカーから多種多様な機種が販売されており,股関節外科医はその中から機種を自由に選択することが可能である. しかし,セメントレスステムを選択する際に,現状では大腿骨の形状に応じた適切なステム形状や設置アライメントに関して明確な規定がない.また,人工股関節再置換術の割合も増加傾向にあるが,その一因となる人工関節の機種と大腿骨の不適合や設置アライメントの影響による初期固定性不良や応力集中に関して不明な点が多い. 本研究の目的は,マイクロモーションや応力分布を評価することで,ステムの形状ごとに安定するステムの設置アライメントを明らかにすることである. 2022年度における研究成果は形状の異なる2種類のセメントレスショートステムの三次元的なマイクロモーションの評価を行った内容を論文にまとめ報告した.長方形の断面を持つステム(長方形ステム)と,フィンを持つ八角形-楕円形のステム(フィン付きステム)の2種類を使用した。有限要素解析により,ステムに大きな負荷がかかる2つの活動(片脚立位と階段昇降)のマイクロモーションを解析した。長方形ステムはフィン付きステムと同等の初期固定性を有していた.両モデルとも,マイクロモーションは近位端と遠位端でより大きかった.マイクロモーションの方向は,ステムの形状ではなく,人工骨頭部への荷重の方向に依存していた.これらの結果は,ステムの選択と将来のステム開発において重要な意味を持つ可能性がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は,2021年度に引き続きステム設置アライメントとマイクロモーションおよび応力分布の解析を中心に解析を行った.設置アライメントは,申請者らが構築した大腿骨近位髄腔軸座標系で評価した. その研究の一部である,形状の異なるセメントレスショートステムの三次元的なマイクロモーションの評価を行った内容を論文にまとめ報告した.また,ステム設置アライメントと応力分布に関する解析に関して,英語論文を執筆して投稿中である.また,上記解析とは別に,片側のみTHAを施行した症例と二期的に両側THAを施行した症例を用いてTHA後の骨盤アライメントへの影響を評価した解析を学会で報告した. ステム設置アライメントとマイクロモーションおよび応力分布に関する解析に関して,大腿骨の形状をFlair indexから stovepipe型, normal型, champangue fluit型の3タイプに分類し,有限要素解析ソフト上でそれぞれの形状の大腿骨でのマイクロモーションと応力分布を評価する研究は予定より遅延している.その影響として,新型コロナウイルス感染症で実験に遅れが生じたことが挙げられる
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,異なる大腿骨の形状におけるステム設置アライメントとマイクロモーションおよび応力分布による解析を進める.まず撮影したCTから大腿骨の形状をFlair indexから stovepipe型, normal型, champangue fluit型の3タイプに分類する.有限解析ソフト上でそれぞれの形状の大腿骨でのマイクロモーションと応力分布を評価する.3タイプの大腿骨内で,マイクロモーションと応力遮蔽や応力集中が少なくなるステム設置アライメントを求める.この解析結果を学会で発表し,論文にまとめ報告予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として,新型コロナウイルス感染症により研究が遅延したため,物品購入を次年度に行う予定である. 次年度の使用計画は,現在投稿中の実験の論文掲載料に加えて、次年度行う実験に用いる物品費や有限要素解析ソフトの保守費用,論文の英文校正および論文掲載料に使用する.
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