研究課題/領域番号 |
21K09257
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中山 タラントロバート 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (00365298)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 骨軟部腫瘍 / リキッドバイオプシー / cfDNA |
研究実績の概要 |
本研究は,骨軟部腫瘍の患者を対象に,リキッドバイオプシー,特に血液中の循環DNA(cfDNA)を用いた病勢モニタリングの実用化を目指し,その基盤となるような解析を行うものです.初年度である2021年は,当院倫理委員会に本研究の実施について研究計画書を提出し,承認を得て,研究を開始しました. まず,cfDNA濃度と病勢変化(治療前後,再発の前後)との関連を解析すべく,悪性骨軟部腫瘍の患者さんの同意の下,研究用採血を行い,検体の収集を行いました.今後,腫瘍組織とctDNAから検出される遺伝子変異,コピー数変異等の相関の解析を行う予定であることから,研究の効率化を考え,進行期の患者さんで,これまで保険診療等で腫瘍組織のゲノム解析を行った方々を中心に,病状の変化のタイミングを考慮しながら複数回,縦断的に血液検体の収集を行いました.昨年度は,のべ20検体の収集を行うことができました.希少がんである悪性骨軟部腫瘍(肉腫)の進行期の症例,は数に限りがありますので、1例でも多くの患者さんに協力を得られるよう研究を進めると同時に、病状の進行をみながら,臨床的に意味のある適切なタイミングで縦断的な採血(検体収集)を進めていきたいと考えています. 現在は,得られた検体から核酸を抽出し,cfDNA濃度を測定しています.臨床情報(画像情報,治療の詳細)と併せて解析することで,cfDNA濃度と骨軟部腫瘍の病勢の変化との関連を明らかにしたいと考えています.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は適切な検体収集が極めて重要になります。昨年度はのべ20検体の収集を行いました。得られた検体はFreezerに保管していますが、一定数集まった段階で、核酸の抽出を行い、cfDNAの濃度測定を行っています。 本研究の「問い」に対する解析を行うためには、さらに多くの検体数が必要と考えています。適切な症例、適切なタイミングで、引き続き検体収集を行ってまいります。
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今後の研究の推進方策 |
cfDNA濃度と病勢変化(治療前後,再発の前後)との関連を示すためには,より多くの症例から,縦断的に血液検体の収集が必要ですので,2022年度も引き続き症例登録および検体収集を進めていきます.並行して、得られた血液検体からcfDNA濃度を測定し,cfDNA濃度と骨軟部腫瘍の病勢の変化との関連を解析します. さらに,リキッドバイオプシー(ctDNA)を用いて骨軟部腫瘍の病勢モニタリングを行うためには,骨軟部腫瘍においても,他のがん種と同様に腫瘍組織から検出される遺伝子変異とctDNAから検出される遺伝子変異が高率に一致する必要があり,それを検証します.具体的には,症例数が蓄積された段階で,cfDNAのゲノム解析を行い,同一症例の腫瘍組織から検出される遺伝子変異との比較を行います.
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次年度使用額が生じた理由 |
使用予定であった試薬が情勢不安のため年度内入荷が見込めなかった。学会に参加予定であったが、状況を鑑みて見送った。以上の理由などから執行計画に変更が生じた。 また、初年度の研究の実態として、検体の収集と核酸の抽出が中心であったため、核酸の解析が中心となる次年度に予算が必要であると考えている。そのため、未使金は次年度試薬購入等に使用し研究を進める。
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