研究課題/領域番号 |
21K09261
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
河野 友祐 藤田医科大学, 医学部, 講師 (50528560)
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研究分担者 |
清水 一郎 岡山理科大学, 工学部, 教授 (10263625)
新留 琢郎 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (20264210)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マグネシウム合金 |
研究実績の概要 |
【はじめに】生体溶解性Mgは近年骨接合材料として注目されている.しかし本邦ではまだ臨床応用されていない.われわれはレアアースを含まず生体安全性が高いMg合金ZK30にフッ酸処理が耐食性を向上することを確認した.そこで本研究ではWE43とZK30の細胞培養液内および骨髄内での耐食性の比較を行った. 【方法】実験にはA:フッ酸処理したZK30,B:フッ酸未処理ZK30,C:WE43,D:キルシュナー鋼線を用いた.まず,細胞培養液内でABCの分解特性を評価した.さらにA-D をマウス大腿骨を骨幹部骨折させた髄内に髄内釘として挿入した.各群5匹,計20匹のマウスを術後24週まで定期的にCT撮影を行い評価した. 【結果】細胞培養液内で最も早く溶解したものはBであり,AはCの溶解速度とほぼ同様であった.一方骨髄内ではAの方がBよりもやや溶解が早かった.CTでは術 後24週時点においてDの1例を除く全例で骨癒合が得られたが,ABCのいずれもDを挿入した大腿骨より転位しながら癒合したものが多かった. 【考察】細胞培養液内ではAはCと同等の溶解速度であったが,骨折した大腿骨に挿入した際には溶解速度に差があった.これは髄内での機械的刺激により早期に フッ酸処理部分が剥がれた可能性などが考えられた.またABCが転位して骨癒合した点については,骨折部の機械的刺激でロッドの溶解が局所的に進行した可能性 が考えられた.これは横止め螺子で安定性を向上させられない本実験におけるlimitationと考えらえた.しかしAはCにくらべ遜色なく癒合していたことから,骨 固定材料としては同等に有益であると考えらえた. 昨年研究した上記について学会発表を行い、現在論文を作成中である。 また、骨折治療機器としてあたらしい構造を研究中であり、現在たたき台は完成した。来年度は鎖骨骨モデルを用いて最適化の研究を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた計画通り概ね進行中であるため。
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今後の研究の推進方策 |
論文執筆 骨モデルを用いた実験の継続
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次年度使用額が生じた理由 |
国際肩肘学会(2023年9月、ローマ)への参加を見込んでおり、その参加費、旅費などに一部を充てる予定。さらに新規骨折治療機器の最適化研究のため、研究しているデザインを外注して実際に作成し、骨モデルでの実験を行う予定である。
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