研究実績の概要 |
本研究では慢性腎臓病(CKD)モデルラットにおいてCKDへの安全性が確立されていないビスホスホネート薬(アレンドロネート;ALN)と、腎機能を改善することが報告されているトレッドミル運動の併用が骨と腎臓に与える効果を検討した. 【方法】8週齢のWistar系雄ラットを4週間0.75%アデニン飼料で飼育後,20週齢まで普通飼料で飼育しCKDモデルラットを作製した.20週齢で溶媒群(溶媒投与,非運動), ALN群(ALN 50μg/kg/day連日皮下注), Exe群(トレッドミル運動, 20m/分, 60分/日, 5日/週), Comb群(ALNとトレッドミル運動を併用)の4群に分け(各群n=9または10),さらに普通飼料で飼育したCont群を加え,治療開始時の20週齢と治療後30週齢で,1)骨密度:腰椎,大腿骨,2)骨強度:大腿骨骨幹部3点曲げ試験と遠位顆部圧縮試験,3)血清学的評価および4)尿中Alb,Cre,NAGを評価した. 【結果】20週齢のCKDラットにおける腰椎,大腿骨の骨密度と骨強度はCont群と比べ有意に低値であった(p<0.05).30週齢のALN群とComb群の腰椎,大腿骨の骨密度は他の3群に比べて有意に高値であった(p<0.05). 大腿骨3点曲げ試験では, Comb群の強度はALN群, Exe群と比べて, 有意に高値であった(p<0.05). 大腿骨顆部圧縮試験では, Vehicle群の剛性と比べてComb群の剛性は有意に高値であった(p<0.05). 血清生化学検査と, 尿検査ではALN投与による腎機能の悪化はなかった. 【結論】アデニン飼料により作製したCKDモデルラットにおいて,ALNは腎機能を悪化させず,運動療法との併用によって骨密度を増加し,大腿骨の骨強度を改善した.
|