研究実績の概要 |
慢性腎臓病(CKD)モデルラットにおいてCKDへの安全性が確立されていないビスホスホネート薬(アレンドロネート;ALN)と、腎機能を改善することが報告されているトレッドミル運動の併用が骨と腎臓に与える効果を検討した. 【方法】8週齢のWistar系雄ラットを4週間アデニン飼料で飼育後,20週齢まで普通飼料で飼育しCKDモデルラットを作製した.20週齢で溶媒群(溶媒投与,非運動), ALN群(ALN 50μg/kg/day連日皮下注), Exe群(トレッドミル運動, 20m/分, 60分/日, 5日/週), Comb群(ALNとトレッドミル運動を併用)の4群に分け(各群n=9~10),さらに普通飼料で飼育したCont群を加え,治療開始時の20週齢と治療後30週齢で,1)骨密度,2)骨強度:大腿骨骨幹部3点曲げ試験と遠位顆部圧縮試験,3)血清学的評価,4)尿検査,5)腎臓の線維化を評価した. 【結果】20週齢のCKDラットにおける腰椎と大腿骨の骨密度と骨強度はCont群と比べ有意に低値であった(p<0.05).30週齢のALN群とComb群の腰椎と大腿骨の骨密度は他の3群に比べて有意に高値であった(p<0.05). 大腿骨3点曲げ試験では, Comb群の強度はALN群, Exe群と比べて, 有意に高値で(p<0.05),大腿骨顆部圧縮試験では, Vehicle群の剛性と比べてComb群の剛性は有意に高値であった(p<0.05). ALNによって尿検査と腎の線維化率の悪化はなかった.運動を介入したExe群,Comb群ではCKD群と比較して腎間質の線維化率が有意に減少した(p<0.01). 【結論】アデニン飼料により作製したCKDモデルラットにおいて,ALNは腎機能を悪化させず,運動療法との併用によって骨密度を増加し,大腿骨の骨強度を改善した.骨格筋への効果は継続して検証している.
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