研究課題/領域番号 |
21K09273
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
平川 明弘 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授 (50422720)
|
研究分担者 |
河村 真吾 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (30456511)
秋山 治彦 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60402830)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 未分化Schwann細胞 / 末梢神経再生 / PI3K/Aktシグナル |
研究実績の概要 |
坐骨神経損傷後のシュワン細胞脱分化におけるPI3K/Aktシグナルの関与を解析するため、Schwann 細胞特異的遺伝子改変マウス:Sox10-CreERT2マウスとPten flox(gain of function)マウス、Rosa26-stop-Pten(loss of function)マウスを交配し、Sox10-CreERT2/Pten flox/floxおよび、Sox10-CreERT2/Rosa26-stop-Ptenを作製した。 同様にWnt/β-cateninシグナルの関与を解析するため、Sox10-CreERT2マウスとβ-catenin ex3 flox(gain of function)、 β-catenin ex2-6 floxマウス(loss of function)を交配し、Sox10-CreERT2/β-catenin ex3 flox 、Sox10-CreERT2/β-catenin ex2-6 flox/floxを作製した。 Sox10-CreERT2/Pten flox/floxマウスにタモキシフェンおよびcorn oil(コントロール)を投与後、坐骨神経損傷モデルを作製した。受傷後5日目、28日目に組織標本を作製し、分化シュワン細胞マーカー(Mbp)、未分化シュワン細胞マーカー(Ngfr)、軸索マーカー(TujI)による免疫染色を行った。その結果、シュワン細胞におけるPI3K/Aktシグナル亢進によって、シュワン細胞の脱分化が遅延することが示唆された。 一方で、Sox10-CreERT2/Rosa26-stop-Ptenマウスにおいてはタモキシフェンを投与したが、Cre-LoxP反応が生じず、Ptenの過剰発現が誘導できなかった。 また、Sox10-CreERT2/β-catenin ex3 floxマウスにタモキシフェンを投与したが、コントロール群と比較し、坐骨神経の再生には変化を認めなかった
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Sox10-CreERT2/Rosa26-stop-PtenマウスのCre-LoxPシステムが作動せず、その原因究明に時間を要したため。 また、Sox10-CreERT2/β-catenin ex3 floxマウスを解析したが、神経再生に変化を認めず、Wnt/β-catenin関連の動物実験を中止したため。
|
今後の研究の推進方策 |
In vivo実験 表現型に差を認めたPI3K/Aktシグナルの解析を進めるため、Sox10-CreERT2/Pten flox/floxマウスを用いて坐骨神経損傷モデルを作製し、損傷後3日、5日、7日、14日、28日で坐骨神経損傷部のRNA、タンパク、組織標本を回収し、シュワン細胞の分化状態の変化、軸索伸長能を評価するとともに、下肢筋の神経再支配の程度をトレッドミル走行試験、下腿筋体積測定により評価する。 In vitro実験 マウス坐骨神経からのシュワン細胞培養プロトコールを用いて、シュワン細胞を培養する。培養シュワン細胞にPI3K/Aktシグナル agonistおよびantagonistを投与する。RNA、タンパクを回収し、未分化/分化シュワン細胞マーカーの変動および神経成長因子の発現の変化を解析する。
|