研究課題/領域番号 |
21K09284
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 浩二郎 自治医科大学, 医学部, 教授 (10372434)
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研究分担者 |
小又 尉広 自治医科大学, 医学部, ポスト・ドクター (20644371)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / 樹状細胞 |
研究実績の概要 |
ヒト末梢血由来の単核球からAutoMACSを用いて古典的単球(classical monocytes)を調整し、M-CSF存在下で培養することにより破骨細胞前駆細胞を得ることができる。それをM-CSF + RANKL存在下で培養すると破骨細胞(TRAP染色陽性多核細胞)が得られる。この細胞は骨吸収活性評価プレート上で培養することにより骨吸収能を示した。マウス由来の細胞と同様、IFN-γやIL-4存在下でこの破骨細胞分化は強く抑制された。TNF存在下でも破骨細胞分化は抑制されたが、同濃度ではIFN-γやIL-4に比べその抑制は弱かった。 本研究の目的は、関節リウマチで骨破壊に寄与するような炎症性の破骨細胞の培養条件を見いだすことである。そこで従来から頻用されてきた(1) M-CSFの他に、近年報告された(2) GM-CSF + IL-4存在下で培養した細胞、また(3) GM-CSFと他の因子の存在下で培養した細胞などを前駆細胞として利用した。(1)-(3)いずれもM-CSF + RANKL刺激下で培養するとTRAP染色陽性多核細胞となり、骨吸収活性評価プレートにより骨吸収能を示した。ただし(2)の条件においてはM-CSF + RANKLの環境に移す前にM-CSF単独の存在下で培養することが必要であった。またこの細胞はTNFが低濃度であっても存在すると細胞数が減少し、多核細胞が分化しないことが明らかとなった。このことから、IL-4により誘導される前駆細胞が炎症性破骨細胞に分化するためには、前駆細胞の分化環境と破骨細胞の文化環境が完全に独立している必要があることが示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
破骨細胞前駆細胞の性質の理解に時間をかけているが、今後炎症性破骨細胞の性質の解析は十分可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
近年炎症性破骨細胞の前駆細胞は樹状細胞的な性質を持っていることが複数の研究室から報告されている。そのため、上記のような様々な条件で誘導した前駆細胞についてmRNA及びタンパクレベルで樹状細胞マーカーなどの発現を調べる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費の端数の関係もあり1000円未満の端数が生じたが次年度に使い切る予定である。
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