研究実績の概要 |
F344ラット骨欠損モデルを用いてMasquelet法の二期手術でセラミック顆粒のみを欠損部位に移植したものM群と、従来法の手術でセラミック顆粒のみを移植したものC群とで、4週後における炎症性巨細胞数、破骨細胞数、炎症性サイトカインのCXCL2,3,5の定量PCR、骨欠損部組織との共存培養で骨芽細胞数を評価した。炎症性巨細胞数(n/mm2)はC群:60.3,M群:51.2で、破骨細胞数はC群:23.6、M群:36.6であった。定量PCRでは,C群と比較してM群は、CXCL2:4.4倍、CXCL3:10.2倍、CXCL5:2.1倍であった。骨芽細胞分化実験では、C群16.8mm2、 M群23.3mm2であった。すべての実験でM群が優れており有意差を認めた。 骨欠損部に我々が独自に開発した超多孔質リン酸カルシウムセメントスペーサーを骨欠損部に移植し、Polytetrafluoroethylene(PTFE)で被覆する。4週後にPTFEを外し、移植した超多孔質リン酸カルシウムセメントスペーサーを一度抜去後粉砕し、自家骨と50%ずつの割合となるように混合し再度移植したモデルをPA群とした。PTFEを外して8週において新生骨量を評価した。新生骨量(BV/TV%)は、C群:5%、M群:11%、PA群45%であった。 超多孔質リン酸カルシウムセメントスペーサーを挿入し、内部に骨代謝環境をもたらす線維組織や血管を侵入させたものを抜去・粉砕後、二期手術で自家骨と混合し再移植することで顕著な治癒促進効果が得られることを明らかにした。この方法は、一期手術時に挿入されたスペーサーの留置期間を有効利用した再生医療とも言え、画期的な効果が期待される新たな術式となる可能性がある。
|