研究課題/領域番号 |
21K09291
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
矢部 裕 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (00803016)
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研究分担者 |
萩原 嘉廣 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (90436139)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 破壊性脊椎関節症 / 黄色靭帯 / 椎間板 / 血液透析 / アミロイド / β2ミクログロブリン |
研究実績の概要 |
破壊性脊椎関節症の病態解析のため、腰椎手術を要する透析患者及び非透析患者の椎間板、黄色靭帯、関節包を採取し解析を行った。黄色靭帯からは十分な量のRNAが抽出されたが、椎間板、関節包組織からは症状のRNAしか抽出されず、黄色靭帯の解析を中心に実験を行った。組織染色において透析患者由来の黄色靭帯組織ではアミロイド及びβ2ミクログロブリンの集積が高度にみられた。非透析患者由来の組織においてもアミロイドの集積がみられたが、β2ミクログロブリンの集積は軽度であり、アミロイドに一致してトランスサイレチンの集積がみられた。透析患者と非透析患者の黄色靭帯における異なったアミロイドの原因物質が示された。また透析患者組織においてアミロイドの沈着は腹側よりも背側で有意に多く、腰椎の動きによる機械的ストレスが腰椎組織へのアミロイドの沈着を促進させている可能性が示された。また透析患者のアミロイドはAGEsと結合するとされ、定量的タンパク解析では主要なAGEsのうちペントシジンが透析患者由来の黄色靭帯で有意に増加していた。遺伝子解析では透析患者由来の黄色靭帯で、RAGE関連炎症カスケードに関わる因子が特に変性の強い背側で有意に増加していた。変性した黄色靭帯組織にアミロイドが沈着し、RAGE関連炎症カスケードが促進され、さらに変性を進行させている可能性が示された。またCT画像による評価を繰り返し行い、CTによる破壊性脊椎関節症の画像評価の定義を行った。破壊性脊椎症を有する患者は透析期間が長い傾向があり、経時的に沈着したアミロイドが炎症を生じ、破壊性脊椎症を生じると考えられる。今後腰椎疾患を伴わない透析患者において画像評価を行い、破壊性脊椎関節症の有病率や関連する因子をさらに明らかにする予定である。
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