研究課題
遺伝性FGF23関連低リン血症性くる病症例のうちPHEX遺伝子変異によるX染色体連鎖性低リン血症性くる病(以下XLH)、およびDMP1/ENPP1変異による常染色体潜性低リン血症性くる病1,2(以下ARHR1,2)はくる病、骨軟化症のみでなく脊柱靱帯骨化症や関節周囲の腱付着部骨化症(腱付着部症)といった異所性骨化症を惹起するがその詳細な機序は解明されていない。本検討では臨床研究、基礎研究を介して同疾患での異所性骨化の機序を明らかとし将来の治療法開発に繋げることを目的としている。(臨床研究) XLH25名の研究で実際に後縦靱帯骨化症の頻度が32%(本邦一般人口 2-4%)と上昇していることを報告。Kato H, Ito N.J Clin Endocrinol Metab. 2021;106:e3682-e3692.ENPP1変異はホモ接合体のみでなく複合ヘテロ接合体、ヘテロ接合体でも後縦靱帯骨化症やびまん性特発性骨増殖症を惹起することを2症例で報告。Kato H, Ito N.J Bone Miner Res. 2022 26. doi: 10.1002/jbmr.4550.現在、手術を必要とした特発性後縦靭帯骨化症と診断されている50症例において前向きにPHEX、DMP1、ENPP1変異を確認しており、またENPP1変異では血中ピロリン酸の低下が生じるため、血中ピロリン酸濃度が後縦靱帯骨化症症例においてENPP1の変異と関連しているかの確認を行っている。将来はENPP1変異が原因と考えられる後縦靭帯骨化症症例に対するENPP1酵素補充療法をYale大との共同研究で検討する予定。(基礎研究)ENPP1ホモ変異マウス:後縦靱帯骨化症モデルマウスにおいて、遺伝性FGF23関連低リン血症性くる病に共通すると予想されるシグナルの阻害剤を使用し靱帯骨化が予防可能かを検討中である。
2: おおむね順調に進展している
(臨床研究) XLH25名の研究で実際に後縦靱帯骨化症の頻度が32%(本邦一般人口 2-4%)と上昇していることを報告。Kato H, Ito N.J Clin Endocrinol Metab. 2021;106:e3682-e3692.ENPP1変異はホモ接合体のみでなく複合ヘテロ接合体、ヘテロ接合体でも後縦靱帯骨化症やびまん性特発性骨増殖症を惹起することを2症例で報告。Kato H, Ito N.J Bone Miner Res. 2022 26. doi: 10.1002/jbmr.4550.現在、手術を必要とした特発性後縦靭帯骨化症と診断されている50症例において前向きにPHEX、DMP1、ENPP1変異を確認しており、またENPP1変異では血中ピロリン酸の低下が生じるため、血中ピロリン酸濃度が後縦靱帯骨化症症例においてENPP1の変異と関連しているかの確認を行っている。将来はENPP1変異が原因と考えられる後縦靭帯骨化症症例に対するENPP1酵素補充療法をYale大との共同研究で検討する予定。(基礎研究)ENPP1ホモ変異マウス:後縦靱帯骨化症モデルマウスにおいて、予備実験として何週齢で後縦靱帯骨化やアキレス腱の骨化が認められるようになるかを確認する予備実験が終了した。FGFRシグナルの亢進がFGF23関連低リン血症性くる病に共通する骨化促進シグナルであると仮定しており、モデルマウスの大腿骨と野生型マウスの大腿骨でのmRNA-Seqでシグナルの変化を比較しているが、実験系の確立に難渋し調整中。また今後モデルマウスにおいてFGFRシグナルの阻害剤により、靱帯骨化の予防が可能であるかの検証を実施する予定であり、現在持続的に効果を認める投与量およびスケジュールを野生型マウスでのFGF23、血中リン濃度を指標として検討中。
(臨床研究) 現在、手術を必要とした特発性後縦靭帯骨化症と診断されている50症例において前向きにPHEX、DMP1、ENPP1変異を確認しており、またENPP1変異では血中ピロリン酸の低下が生じるため、血中ピロリン酸濃度が後縦靱帯骨化症症例においてENPP1の変異と関連しているかの確認を行っている。将来はENPP1変異が原因と考えられる後縦靭帯骨化症症例に対するENPP1酵素補充療法をYale大との共同研究として開発する予定。(基礎研究)ENPP1ホモ変異マウス:FGFRシグナルの亢進がFGF23関連低リン血症性くる病に共通する骨化促進シグナルであると仮定しており、モデルマウスの大腿骨と野生型マウスの大腿骨でのmRNA-Seqでシグナルの変化を比較しているが、実験系の確立に難渋し調整中。また今後モデルマウスにおいてFGFRシグナルの阻害剤により、靱帯骨化の予防が可能であるかの検証を実施する予定であり、現在持続的に効果を認める投与量およびスケジュールを野生型マウスでのFGF23、血中リン濃度を指標として検討中。FGFRシグナル阻害薬がモデルマウスでの後縦靱帯骨化を抑制した場合、本製剤はmultiple kinase inhibitorであり、実際の臨床使用では比較的高度な副反応が問題となるため、FGFRの骨化シグナルのみをターゲットとするようなRNA干渉製剤などの臨床応用において現実的な製剤のスクリーニング、開発を予定している。
研究室ホームページ
すべて 2022 2021 その他
すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 4件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 4件、 招待講演 8件) 備考 (1件)
J Bone Miner Res
巻: 37 ページ: 1125-1135
10.1002/jbmr.4550.
Endocr J
巻: 69 ページ: 373-383
10.1507/endocrj.EJ21-0386.
J Clin Endocrinol Metab
巻: 106 ページ: e3682-e3692
10.1210/clinem/dgab282.
J Bone Miner Metab
巻: 39 ページ: 1066-1075
10.1007/s00774-021-01250-1.
巻: - ページ: -
10.1007/s00774-021-01258-7.
Osteoporos Int
10.1007/s00198-021-06145-5.
RMD Open
巻: 7 ページ: e001714
10.1136/rmdopen-2021-001714.
Endocr Pract
巻: 23 ページ: -
10.1016/j.eprac.2021.09.005.
Int J Endocrinol
10.1155/2021/5492267.
Bone Rep
10.1016/j.bonr.2021.101144.
10.1016/j.bonr.2021.101163.
https://u-tokyo-bone-mineral-lab.jp/