研究課題/領域番号 |
21K09294
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武冨 修治 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70570018)
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研究分担者 |
齋藤 琢 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30456107)
小俣 康徳 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (40570734)
乾 洋 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60583119)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 関節炎 / 慢性疼痛 / 神経障害性疼痛 |
研究実績の概要 |
変形性関節症や関節リウマチに代表される関節疾患に伴う慢性疼痛の詳細な機序は未解明な部分が多く、その治療方法はアンメットニーズとなっている。本研究は、関節疾患により生じる慢性疼痛に対する神経障害性疼痛の機序の関与を明らかにし、さらに細胞内シグナル伝達経路のJAK-STAT経路との関連性に関して調査し、新たな治療標的を見出すことを目的としている。本研究の方法として、我々が従来から用いてきた変形性関節症モデル、関節リウマチモデル動物を使用して、疼痛行動による評価や、各組織の疼痛関連分子の発現解析を中心とし、研究を進めている。 2021年度の研究実績として、まずは慢性疼痛を発症させる動物モデルの確立のため、CAIA関節リウマチモデルマウスに対して、関節炎や疼痛行動による評価を用いて、関節炎ならびに慢性疼痛が発症することを確認した。CAIAモデルの特徴として、四肢末梢関節において強い関節炎を発症するが、一過性であり、ピークを過ぎた後に自然軽快する点が挙げられる。しかしCAIAモデルに発症する疼痛は、関節炎軽減後も神経障害性疼痛が残存することが知られており、本研究においてもvon frey filamentを用いたアロディニアの評価から、同様の疼痛が残存することを確認した。また関節炎を発症するための、モノクローナル抗体、LPSの投与量の条件検討を複数回繰り返した結果、再現性の高い神経障害性疼痛が残存する関節炎モデルを確立することができた。現在このCAIAマウスの各組織を用いた発現解析を進めており、疼痛関連分子の発現変化を調査している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
疾患モデル動物を用いた疼痛評価は特にマウスのような小動物では困難を要する部分もあるが、本研究では関節炎に引き続く神経障害性疼痛の残存を、疼痛行動を用いて高い再現性が得られている。再現性の高い慢性疼痛を発症するモデル動物を用いることで、今後進める疼痛関連分子の発現解析においても、ばらつきの少ない安定した発煙変化が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
疼痛に関連する組織として、脊髄、後根神経節、そして関節炎が発症した部位の滑膜組織を採取し、発現解析を進めている。まずは定量的PCRや免疫組織科学染色を用いて慢性疼痛の発症への関与が知られている分子の発現変化の有無を調査する。これらの発現解析により評価対象組織を定めた後、次世代シーケンサーを用いた解析へと移り、各組織における発現変化の全体像を得ることを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:順調に研究が進んでいるため、必要以上に経費をかけずに済んだ。 次年度使用計画:次年度以降の解析等に使用する計画である。
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