研究課題/領域番号 |
21K09301
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
今井 智恵子 (野口智恵子) 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (90746653)
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研究分担者 |
尾崎 誠 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (20380959)
小関 弘展 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (70457571)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 感染 / 人工材料 / バイオフィルム |
研究実績の概要 |
令和3年度は、「バイオフィルム形成に至る人工材料因子、体内環境因子の分析」をテーマに掲げ、2つの項目(①体内での人工材料の腐食の進行とバイオフィルム形成量との関連性を調べる。②細菌付着、バイオフィルム形成に影響する体内環境因子(温度、湿度、糖分、脂質、タンパク質、摩耗粉、pH、体液の流れ)を特定する。)について研究を遂行した。表皮ブドウ球菌(strain RP62A (ATCC35984)) を対象菌として、臨床で使用されているOxinium(ASTM F-2384)、 Cobalt-Chromium-Molybdenum合金(ASTM F75 high carbon)、Titanium合金(ASTM F136)、 純チタン(ASTM F-67)、ステンレス鋼(SUS316L)、ジルコニア(ISO13356)、アルミナ(ISO6474-1)、ジルコニア強化アルミナ(ISO6474-2)を基板に使用した。2.0×107CFU/ml(対数増殖:OD600=0.2)の表皮ブドウ球菌液に人工材料試験片を浸漬して細菌を付着させ、撹拌、超音波洗浄後に希釈平板法にて付着菌数を算出した。各材料の表面粗さなどの物理的特性を統一させるため様々な処理過程を要した。バイオフィルムをクリスタルバイオレットで染色後にデジタル実体顕微鏡で撮影し、バイオフィルム占拠率 (BCR:biofilm coverage rate) にて定量化を行った。細菌付着、バイオフィルム形成に影響する体内環境因子については、温度、湿度、タンパク質、摩耗粉については概ねデータ収集が終わっているが、糖分、脂質、pH、体液の流れに関してはまだ特定に至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「②細菌付着、バイオフィルム形成に影響する体内環境因子(温度、湿度、糖分、脂質、タンパク質、摩耗粉、pH、体液の流れ)を特定する。」については完了した。「①体内での人工材料の腐食の進行とバイオフィルム形成量との関連性を調べる。」に関しても、生体材料の入手と表面加工などの前処理に時間を要したが、おおむね8割程度まで進行している。今後も、ジルコニア(ISO13356)、アルミナ(ISO6474-1)、ジルコニア強化アルミナ(ISO6474-2)などのセラミック材料や海外からの機器の購入には手間取ることが予想されるため、購入経路の変更などを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
細菌付着、バイオフィルム形成に影響する糖分、脂質、タンパク質、摩耗粉、pH、体液の流れを特定する。生理食塩水による腐食前、腐食後の段階と各生体環境因子の厳密な条件設定を行い、細菌付着量およびバイオフィルム形成量との関係を統計学的に分析する。また、走査型電子顕微鏡でバイオフィルムの形態的特徴を観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染拡大の影響で物品の納期が延長し、施設の規制によって人数制限や施設使用制限がかかった。今後、物品の納品や設備使用の制限緩和などの条件が整い次第、順次計画に沿った研究費の使用を予定している。具体的には、バイオフィルム形成実験に必要な卓上ラボバーナー、遠心分離機の購入および走査型電子顕微鏡設備の使用料に充てる予定である。
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