研究課題/領域番号 |
21K09301
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
今井 智恵子 (野口智恵子) 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (90746653)
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研究分担者 |
尾崎 誠 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (20380959)
小関 弘展 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (70457571)
朝永 育 長崎大学, 病院(医学系), 医員 (10972622)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 感染症 / バイオフィルム / 人工材料 |
研究実績の概要 |
令和5年度の研究内容は、「インプラント感染症に対する治療的アプローチ」と題して、①ラット大腿骨インプラント感染モデルの作製し、抗菌薬の効果を判定する、②酸化チタンの抗菌性と超音波刺激による対バイオフィルム効果を評価することであった。 ペントバルビタールナトリウム(40mg/kg)の腹腔内投与による全身麻酔下に、ラットの後肢膝関節から大腿骨内に直径10mmの髄内釘を挿入した。同時に、表皮ブドウ球菌を接種してインプラント感染症モデルを作製した。第1、2段階での結果をもとに抗菌薬を投与し、発熱状態、局所の腫脹、発赤などの臨床所見を記録した。各治療期間終了後、ペントバルビタール麻酔にて安楽死させ、後肢を周囲の軟部組織とともに一塊として採取した。病理組織切片を作製し、インプラント感染の程度や経時的変化を評価し、免疫染色による組織観察を行った。現在は取り出した髄内釘の表面を走査型電子顕微鏡で観察し、バイオフィルムの形状を観察し、第1段階と同様にして定量的評価を行っている。また、過去に紫外線刺激で抗菌性を証明した酸化チタン技術を用いて、バイオフィルムの形成予防、破壊効果を検証する予定である。インプラント感染ラットモデルの体表から低出力超音波パルス刺激(強度:30mW/cm2、周波数:1.5MHz )を20分照射し、感染の抑制効果を検証する計画である。 令和5年度の学術発表論文は8編(英字論文3編)、学会発表は14演題(最優秀演題賞1演題)であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験による抗菌剤とバイオフィルム形成の関係性の解明に関して、ラットの後肢膝関節から大腿骨内に直径10mmの髄内釘を挿入し、表皮ブドウ球菌を接種してインプラント感染症モデルを作製した。各種抗菌薬を投与し、発熱状態、局所の腫脹、発赤などの臨床所見を記録した。各治療期間終了後、後肢を周囲の軟部組織とともに一塊として採取し、病理組織切片を作製してインプラント感染の程度や経時的変化を評価するとともに、免疫染色による組織観察を行った。現在は取り出した髄内釘の表面を走査型電子顕微鏡で観察し、バイオフィルムの形状を観察し、第1段階と同様にして定量的評価を行っている。但し、国際情勢の不安定化、急激な円安、新型コロナウイルス感染拡大により、海外からの物品、試薬の入 手に時間を要したこと、実験者の体調不良によって研究が滞ったことなどが影響して、令和5年度に完了する予定であった手技が現在進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
研究に必要な物品が入手出来次第、現在進行中の研究を進めていく。令和6年末までには動物実験(ラット大腿骨インプラント感染モデルの抗菌薬の効果を判定する。)を完遂する。また、酸化チタンの抗菌性と超音波刺激によるバイオフィルムの形成予防、破壊効果を検証する予定である。インプラント感染ラットモデルの体表から低出力超音波パルス刺激(強度:30mW/cm2、周波数:1.5MHz )を20分照射し、感染の抑制効果を検証する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
不安定な国際情勢、新型コロナウイルス感染症拡大、急激な円安為替などの社会背景の影響で、抗菌薬(CEZ、 VCM、 LZD、 DAP)、実験動物自体と分析に必要な試薬や製品の購入に時間を要したため。動物実験(ラット大腿骨インプラント感染モデルでの抗菌薬の効果を判定する。)に関わる設備費用、施設使用料、各種試薬と検査キット、情報収集と学会発表のための旅費、論文作成のための校正費用、論文掲載費に使用する予定である。
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