研究課題/領域番号 |
21K09303
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
河村 一郎 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (90535832)
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研究分担者 |
前田 真吾 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (60353463)
谷口 昇 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20626866)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 側弯症 / 筋分化 |
研究実績の概要 |
メラトニンと脊柱側弯症の関連は報告されており、まず下流の経路で側弯に至る機序を解明すべく、本邦における大規模ゲノムワイド関連解析で候補となったTbx1遺伝子の関連を確認した。側弯症の原因器官も明らかではないため、骨芽細胞モデルとしてST-2細胞、MC3T3E1細胞、軟骨モデルとしてATDC5細胞を筋モデルとしてC2C12細胞を用い、それぞれの分化における発現変動を確認したが、変化が微弱な事から、Tbx1の役割は限定的であると判断した。 脳質のReisssner’s fiberに存在するSCO-spondin(Sspo)と側弯形成、松果体とSspoの関係、SspoとUTS2Rとの関連はそれぞれ報告されているが、どのような機序で側弯を形成させているかは不明である。そこでUTS2Rの機能解析を進める事にした。内因性UTS2Rの発現をST-2、MC3T3E1、ATDC5、C2C12及びMSCを用い、それぞれの分化おけるUTS2Rの挙動を確認すると、C2C12とMSCの分化とともに変化した。UTS2R のリガンドであるUrotensinおよびUTS2Rの阻害剤、そしてUts2r siRNAを用い、その分化表現型をReal time PCRと免疫染色を用いて確認した。阻害剤暴露によりMyf1とMyf7はともに抑制され、siUts2rを用いたloss of function実験でもMyf1とMyf7はともに抑制された。問題点として筋分化のどの時点で影響しているかが判明しておらず、その表現型や再現性を確立している。In vitroにおけるUTS2Rの関与が確認し、KOマウスを入手して表現型を確認する予定である。 筋分化における側弯形成の標的組織として筋が関与していることが示唆され、松果体―Sspo ―UTS2R を介したメカニズムにより筋原性に側弯症が引き起こされる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Tbx1の分化実験系における発現確認実験が既報のエビデンスを再現せず限定的である為に、実験を繰り返している事が主な原因である。このことから、Tbx1そのものの機能を追求するには無理があると判断し、松果体-脳質とも関与し、その機能異常により脊柱側弯をきたすことが報告されているSspoに注目した。Sspo―UTS2R-筋分化の機能解析をまず推し進める戦略に変更した。
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今後の研究の推進方策 |
In vitroでは、UTS2Rの靭帯から骨(膜性骨化)・軟骨(内軟骨性骨化)分化へのスイッチとしての可能性について、筋組織にどのように影響するかをgain or loss-of-function実験でさらに追求する。さらにその下流で関与が報告されている、Fibronectin type Ⅲ domain containing 5 (FNDC5)との関連も検討していく。 In vitroで機能を確認し、in vivoではUTS2R KOマウスを用いてその脊柱および筋の表現型を確認する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
gain of functionを確認する目的でのアデノ随伴ウイルス作製を行い、さらにin vivoではUTS2R KOマウスも導入予定であり、その解析における免疫染色に必要な抗体およびin-situ hybridizationに必要な試薬を購入予定である。
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