メラトニンより下流の経路でどのように側弯に至るのかの機序を解明すべく、ゲノムワイド関連解析(GWAS)で候補となったTbx1遺伝子の関連をまずin vitroで確認したが、骨、軟骨および筋分化における内因性の変化が微弱な事から、Tbx1の役割は限定的であると判断した。メラトニン産生に関与する内分泌器官である松果体との結びつきに注目し、SCO-spondin(Sspo)とその下流の筋分化に挙動があるUTS2Rの解析に着目した。UTS2Rと骨格筋の分化する過程の影響を評価するため、UrotensinおよびUTS2Rの阻害剤、Uts2r siRNAを用い、その分化表現型をReal time PCRと免疫染色を用いて確認した。阻害剤により速筋マーカーであるMyf1と遅筋のMyf7はともに抑制され、siUts2rを用いたloss of function実験でも阻害剤実験同様Myf1と遅筋Myf7はともに抑制されたことより、in vitroにおけるUTS2Rと筋分化の関与が解析できた。 さらにUTS2Rのin vivoでの表現型を確認するために、UTS2R knock out mice(UTS2R-/-)を作成し、脊柱変形とその発生メカニズムの解析を行った。UTS2R-/-を5週、8週および10週で外観の変形と単純X線写真で脊柱変形を評価したが、Wild type miceと比較し明らかな脊柱変形含め筋骨格における明らかな表現型の違いや再現性は認められず、UTS2R単独では脊柱変形発生のメカニズムは説明できなかった。メラトニン産生に関与する内分泌器官である松果体、その下流で脊柱変形との関連が報告されているSspoのさらに下流には、UTS2Rと他の経路との複合関与も考えられた。
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