研究課題/領域番号 |
21K09316
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 卓巳 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70436468)
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研究分担者 |
小俣 康徳 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (40570734)
田中 栄 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (50282661)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / エピジェネティック制御 |
研究実績の概要 |
遺伝子発現のON/OFFを制御する機構としてヒストン修飾が重要な役割を果たしており、 H3K4(ヒストンH3の4番目のリジン残基)のトリメチル化(H3K4me3)は遺伝子発現を促進し、 H3K27のトリメチル化(H3K27me3)は遺伝子発現に抑制することが知られている。これまで申請者らは、ヒストン脱メチル 化酵素Jmjd3がこの行程を通じて破骨細胞の発生を制御していることを報告したほか、ヒス トン修飾のChIP-seqを皮切りに、TGF-β/Smad, Nedd9, PU.1などによる破骨細胞の分化制御機構を解明してきた。本研究においては、H3K4me3の脱メチル化により発現が抑制される遺伝子について解析を進める 中で、ホメオボックスファミリーに属する転写抑制因子であるHematopoietically expressed homeobox(Hhex)を同定した。Hhexは骨組織で高発現しているが、骨における機能は不明である。Hhexは血液系細胞の分化の抑制に関わることが示唆されているが、骨髄由来マクロファージにおけるHhexの過剰発現は破骨細胞の分化を強力に抑制し、in vivoにおいて破骨細胞特異的にHhexを ノックアウトすると生理的条件下で骨量減少がみられることを突き止めた。Hhexは転写抑制因子として知られているが、マクロファージ・破骨細胞分化における標的 遺伝子はほとんど分かっていなかった。我々は、破骨細胞前駆体におけるサイクリン依存性キナーゼ阻害剤の発現がHhex によって負に調節されていることを見出し、Hhexの欠失は細胞周期のG1期の細胞の割合を上昇させることも発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた研究内容を順調に進めることができ、その内容を骨代謝において注目される雑誌の一つである、JBMR Plusに投稿、受理され発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本課題で我々が破骨細胞分化を経に制御する転写因子であると同定した、Hematopoietically expressed homeobox(Hhex)のターゲット分子などを明らかにすることができた。今後は骨代謝のバランスが崩れた疾患である骨粗鬆症や関節リウマチで見られる骨破壊についての病態にもこのHhexが制御しうるのか検討を進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していたin vivo研究に使用予定だった試薬の購入額が見込み額より低く抑えることができた。この分は個体差が大きいin vivoの実験を当初予定していた計画よりさらに頭数を増やして行うことで研究の質をより高めることに使用したいと考えている。
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