研究課題/領域番号 |
21K09319
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
岡本 正則 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (50596781)
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研究分担者 |
出田 宏和 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (00838534)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 骨肉腫 / スクレロスチン / 新規治療薬 |
研究実績の概要 |
本研究課題では骨肉腫に対する新規治療薬の開発を目指している。これまでにWnt阻害因子スクレロスチンが骨肉腫細胞株に対して、腫瘍の増殖と郵送を抑制することが明らかになっている。そこで抗腫瘍効果について、作用機序・作用点を解明し、既存の抗がん剤との併用効果を評価することが本研究課題の目的である。本年度(2022年度)は、作用機序や作用点の解明を継続するとともに、既存の抗がん剤との併用効果をin vivoにて評価するため以下の研究を行った。 ・スクレロスチンは213アミノ酸からなり、3つのループ構造を持つことが知られている。ループごとに3分割したペプチドを作製し、骨肉腫に対する抗腫瘍効果をin vitroで評価した。現時点で再現性のある結果が得られておらず、新たなペプチドを再作製したが、やはり再現性のある結果が得られていない。そこでさらなる評価系の再構築を行っている。 ・スクレロスチンの作用機序の解明のため、がんシグナル伝達経路にとって重要な 269 個の特異性の高い抗体が含まれているFullmoon biosystem社 Cancer Signaling Phospho Antibody Arrayでの解析を開始した。当大学内での実施は難しいため、条件検討が終了後に外注予定である。 ・既存の抗がん剤との併用効果を評価するため、骨肉腫のキードラッグの一つであるドキソルビシンを用いて、コントロールの無治療群、ドキソルビシン群、スクレロスチン群、併用群の4群に分けて比較を開始した。腫瘍の増大抑制、肺転移の抑制、全生存期間の延長について解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
作製したペプチドによる骨肉腫に対する抗腫瘍効果の評価で安定した結果が得られず、条件設定などに時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度から継続して、以下の今後も解析を行う。 ・スクレロスチンの作用機序の解明のため、Cancer Signaling Phospho Antibody Arrayでの解析結果をもとに、さらに詳細な解析を行う。 ・既存の抗がん剤との併用効果を評価するため、ドキソルビシンを用いて、コントロールの無治療群、ドキソルビシン群、スクレロスチン群、併用群の4群に分けて比較を行う。 ・臨床検体を用いてWnt関連遺伝子と臨床成績との関連を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究を開始当初は令和4年度・5年度に予定していたスクレロスチンと既存の抗がん剤との併用による相乗効果の検証を令和3年度後半から開始することとし、令和3年度に直接経費として600,000円前倒し支払請求を行った。本年度も継続して検証を行ったが、作製したペプチドによる抗腫瘍効果が再現性のある結果とならず、条件検討に時間を要している。最終年度となる令和5年度は引き続き、メカニズムの解析、既存の抗がん剤との相乗効果の検証、臨床検体の解析を継続する予定である。
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